イチロー、新しい環境にフィットするまで(メジャーリーグ3年目)


イチロー

イチロー、新しい環境にフィットするまで(メジャーリーグ3年目)

の頃のイチローはどこか疲れているように見える。今月の終わり、メジャーリーグへ挑戦してから3年目を終えようとしている。今年のイチローは後半になったとたんに打率が落ち始めた。8月半ば頃から打率の首位を明け渡し、9月17日時点で9位。何がイチローの元で起こっていたのだろうか?

イチローの打率が落ち始めたころ彼の顔には戦うモチベーションが見られず、いいバッティングをしているときの充実した顔つきも表れていなかった。別にスランプでもないはず。ここのところはヒットが出ないために、バントヒットを狙う場面も良く見かけるようになる。なんとなく疲れているようにみえるのは気のせいだろうか? 野球に飽きたというか楽しめない。アメリカ社会に十分イチロー自身がフィットしていないように感じる。あくまでも僕の個人的な憶測だが。

アメリカへ来たばかりの1年目。誰でもそうだが初めてのことばかりなので、非常に緊張している。身体も精神もぼろぼろに疲れているのだが、毎日新しい発見や出来事のせいで月日が過ぎるのはとても早い。今まで何の疑問もなく使っていた日本語も慣れない英語に変え、すべてに関して日本とは違う環境で生活をスタートさせることになる。これが想像以上に大変。

イチローの1年目。周囲からの注目の目もあったが、イチロー自身メジャーリーグで自分がどこまで通用するのか不安だったに違いない。だからこそ、一生懸命に野球に打ち込むことができ、気が付いたら首位打者と盗塁王の2冠を達成していた。今年はニューヨーク・ヤンキースに松井秀喜が加わった。その松井は今年1年目をもうすぐ終えようとしている。この1年はいろいろとあった。アメリカの広さも実感しただろう。

野球スタイルも日米で微妙に違う。その一つ一つに自分でアジャストしていかなくてはいけない作業。他人を当てにしてはいけない。アメリカで勝ち抜いていくためには自分で自分だけの情報をつかんでいくのだ。そうして力を付けていかないと厳しい競争社会では負けてしまう。

まだまだ、ヤンキースはプレーオフにも行きそうなので、松井はオフを満喫するまでには行かないがシーズンが終わって日本へ帰国したときに感じる安堵感は海外で生活したものにしか分からないだろう。それほど、日本はやはり住み心地がいい。来年の2年目に松井はどのようにメジャーリーグ生活にアジャストしてくるか。自分だけの情報をつかむこと。これに懸かっていると言ってもいいだろう。

退屈な時間を過ごすこと

いる日本人メジャーリーグの選手たち、これから挑戦するであろう日本野球界の人たちにとってのアドバイスがあるとすればこれだ。サッカーの中田英寿が昔言っていたが、サッカー以外の時間を充実させたい、といっていたそうだ。これは非常に大事である。

よく日本で非常に頑張って受験勉強や中学、高校と勉強してきた学生が、アメリカに来たとたんに自由を手にするために勉強に対するモチべーションをキープすることができずに脱落するケースを目にする。彼らは勉強以外、日本でほとんど何もしてこなかったために、アメリカへ来て親もいないし自由になった分、自分を律することができずに墜落していく。

それ以外にもアメリカでの単純な生活にアジャストできない人も多い。日本と違って近所に気軽な友達もいるわけではないし、遊ぶところも日本と違ってアメリカは退屈なのだ。大都市でも出れば別だが、それでも日本の都市に比べれば、べらぼうに日本のほうが楽しいに決まっている。

日本の駐在員の奥さんにも多いのだが、日中に何をしていいのか分からない。きっとやることがない退屈な時間を過ごすことは苦痛に違いない。ドイツ人でノーベル平和賞受賞のアルベルト・シュヴァイツァーがその著書の中で言っている。アフリカには教養のない人間は住めないらしい。

これはどういうことかというと、アフリカのように何にもないところでは本を読む楽しみや音楽を聴く楽しみを知っている、教養のある人間じゃないと毎日退屈で飽きてしまうんじゃないか、っと言っているように思う。

野球以外の充実した時間

本人は往々にして静けさを避けるというか、静かな環境をつまらないととる人々が多いような気がする。これは日本のスキー場へ行けばすぐに気が付くことだが歌謡曲がずーーーーと流れっぱなし。じゃぁ、アメリカのスキー場はどうかというと音楽なんか流れていない。人々はその雄大な自然を楽しむと同時にスキーを楽しんでいる。

非常にシンプルである。ヨーロッパなどの田舎へ行ってみるといい。絶対に静かなはずだ。人間、静かな環境がないと集中できない。静かな環境の中で集中したからこそ偉大な文学や音楽が生まれたのだと思う。

さっきの話の逆のケースで日本で学生時代、あまり勉強などせずに部活や、遊びほうけていた連中がアメリカへ来て勉強に目覚めることがある。こういう人たちは自分で何が足りないか知っているので、自分のほうから教材を求めることもできるし、知的に好奇心が旺盛なので毎日の単純な生活の中からそれなりに新しい発見や知的興奮などを自分で見つけていくことができる。こういう人間は強い。アメリカ社会の中でもやっていける。

たとえば、モントリオール・エクスポズにいる日本人ピッチャーの大家友和。この選手は日本の立命館大学の学生である。今年の初めに受験して学生になったらしい。彼は日本ではぱっとした成績を残すことができなかったが、アメリカへ来てから才能が開花した。

きっと野球以外の生活が充実しているのだと思う。とくに野球など動の部分で活躍する選手は、オフのときに過ごす静の部分が非常に大切になってくると思う。ここで知的好奇心を発揮して何かを学んでいくことができる人間は必然に英語も上達し、アメリカの社会に自信をもって入っていくことができるようになるのだ。

さて、話をもどすがイチローは大丈夫だろうか? シアトルは田舎だ。アメリカはニューヨーク以外は田舎である。日本での生活にどっぷりつかっていた人間が田舎に住み続けるには野球以外の時間の静の部分を充実させないといけない。そうでないと日本のビデオを借りてきてはただ見るだけの生活にはまってしまう。

教養のない人間はアメリカでの生活は退屈きわまりない。だから教養のない人間が日本にはたくさんいるのだ。日本は教養がなくても退屈じゃないから楽しい。日本からでて海外で生活することにはそれなりの覚悟が必要なのだ。

P.S.「これで、朝起きたときのプレッシャーはもう感じなくなる。ホッとしたといえるでしょう」

シーズン終了後は珍しく疲れきった様子を見せて、本音を口にしたイチロー。開幕直後にスランプに陥るなど、自身は激しく上下する調子の波に悩む一方で、チームは夏場以降に急失速。2年ぶりの首位打者とチームのVを大目標に戦った3年目だが、結果はどちらも取り逃がした。

「いろんなことが、たくさんあり過ぎました。経験のなかった苦しさもあった。(自分への)怒りやプレッシャーで吐き気がしたり息が苦しくなったりした。過去になかったことなので、自分でも驚いている。メンタルなことが、いかに体に影響を及ぼすかを強く感じました」

カルチャーショックがなくなるのは、海外で生活し始めてから3年目が終わった4年目からだと言われている。来年のイチローはどうなるのだろうか? きっとイチロー自身、自分にしかない情報を蓄積してきたはずだ。これらを有効に使って新しいシーズンの活躍を期待したい。

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