ジュスティーヌ・エナンの癒されたい心


ジュスティーヌ・エナンの癒されたい心

ュスティーヌ・エナンが引退してしまった。世界ランキングナンバー1の地位のまま引退というのは前代未聞のことらしい。これであのエナンのすばらしいバックハンドを見れなくなると思うとちょっと寂しい気もするが、どんな理由があるとはいえ、彼女の決断には尊重の思いを表さなくてはいけないのだろう。

ジェニファー・カプリアティとの接戦

が始めてジュスティーヌ・エナンに注目したのは2003年全米オープンの女子準決勝シングルス、ジェニファー・カプリアティとの試合。そのときは初めて4 大大会の試合の準決勝クラスを見るということで僕は嬉しくてたまらなかったのを覚えている。

第1試合は、リンゼイ・ダベンポートとキム・クライシュテルス。この試合はあっけなくキム・クライシュテルスの勝利となり、決勝戦へと駒を進める。そして第2試合。僕はジェニファー・カプリアティに注目していた。年少のころに早くも才能を開花させて数々のタイトルをほしいままにした彼女は一時燃え尽き症候群から過ちを犯してしまい、1994年5月16日にマリファナ持容疑で逮捕され、一時はテニス選手としての再起を危ぶまれた。

しかし1996年にはテニス界に復帰を果たし、同年の全米オープンでも4回戦まで勝ち進んだカプリアティは、敗戦後の記者会見で「過去との決別」を宣言し、 6 年間の歳月を経て燃え尽き症候群から回復したことをアピール。こうした経緯もあってか彼女のファンはたくさんいたんだよね。特に全米オープンにはたくさんのジェニファー・カプリアティのファンも応援に来ていて、このジュスティーヌ・エナンとの準決勝に注目していたんだ。

リンゼイ・ダベンポートもそうなんだけど、この頃のアメリカ人プレーヤーといったら大柄で強力なフォアハンド・ストロークを武器に高い位置からボールをたたくようにして繰り出される左右からの攻撃に、相手選手は翻弄されていた。

この二人に勝つにはまず脚力がないといけない。高い位置からボールをたたいてくるので、体重も加わったテニスボールは相手コートで加速して、コートを抜けようとする。そのボールに追いつく強靭な脚力が必要とされるんだ。そしてその強力なストロークに打ち負けないフォアハンドとバックハンドのストロークも持ち合わせていなくてはいけないから、並大抵の運動神経じゃ駄目。

キム・クライシュテルスもジュスティーヌ・エナンもそんなに大きな選手ではないのに両方ともこの準決勝で勝ってしまい、女子シングルステニス界にベルギー時代の到来、とまで言わせるほど、彼女たちの活躍はすばらしかった。

憧れのシュテフィ・グラフ

方ともシュテフィ・グラフに憧れてテニスを始めた最初の世代だったのも特徴の一つ。そのジュスティーヌ・エナン。準決勝第2試合でのジェニファー・カプリアティの試合は見事であった。ジェニファー・カプリアティはほとんど試合も手中にしていたんだよね。信じられないけど決勝進出まであと2ポイント、というところから敗退してしまったんだ。

ジュスティーヌ・エナンが腐らず粘りを見せる戦いぶりに段々とジェニファー・カプリアティは自分の感情をコントロールできなくなっていったのか? 試合が進んでいくごとにジュスティーヌ・エナンのバックハンドから繰り出されるパッシングショットが見事に決まり始める。

このジュスティーヌ・エナンのバックハンドのパッシングショットは本当に力強く美しいかった。彼女両手でラケットを支えないで、片手だけでバックハンドのパッシングショットを打ち返すんだよね。これはシュテフィ・グラフがポイントを取りにいくときに見せたバックハンドの片手打ちなんだ。

シュテフィ・グラフはバックハンド側を攻められたときに、その美しいフォームのスライススタイルでボールを優しく、厳しいポイントに返すんだけど、いざチャンスと見るや、スライススタイルではなく、片手でバックハンドのパッシングショットを放つんだ。

そのシュテフィ・グラフの影響だね。ジュスティーヌ・エナンのバックハンドはほとんど片手で繰り出され、それも強力で決して打ち負けしないんだよ。ストレートにクロスにと自在に繰り広げられるバックハンドからのストロークは、フォアで繰り出されるストロークと同じぐらい厳しい威嚇となって相手コートに迫ってくる。

彼女が世界ランキングナンバー1で居続けたポイントはここにあるんだよね。そんなに背が高いわけでもない、日本人と同じような体型の彼女が強い秘密。日本人女子でも十分に可能性がある。

今 伊達公子選手の現役復帰で話題になっているけど、もし世界に通用するような選手が日本人から生まれるとすれば、彼女は強靭な脚力(足が速いこと)と、強力なフォアハンドはもちろんのこと、弱点にならないようなバックハンドのストロークを身につける必要がある。

打ち負けしないストローク

ム・クライシュテルスもジュスティーヌ・エナンも絶対に普段から男子相手にテニスをしているなぁ、と思わせるぐらいに打ち負けしないんだよ。とくにねぇ、キム・クライシュテルスがレイトン・ヒューイットと付き合っていたころには絶対に普段からキム・クライシュテルス方が、レイトン・ヒューイットに打ち合いをさせてもらっているだろうな、というぐらいにショットが打ち負けしていなかった。

話をジェニファー・カプリアティとの試合に戻すけど、だんだんとジュスティーヌ・エナンがポイントを決めるたびに、気がついたら僕は彼女のほうを応援していたんだよね。周りにジェニファー・カプリアティ応援の観客が多かったせいもせいもあるけど、ジュスティーヌ・エナンが逆転していくぶりをみているのはほんと気持ちがよかった。

ここでの勝利がジュスティーヌ・エナンとっては大きかったのだと思う。最後まであきらめない姿勢というか、自分の感情をコントロールして、テニスに集中できたことが大きな自信になったんじゃないかなぁ、と思うんだ。この準決勝で勝ったジュスティーヌ・エナンは決勝でベルギー人同士の戦いを制し、見事に全米オープン優勝を果たした。

精神的な支え

は今回のジュスティーヌ・エナン引退劇は彼女の精神的な部分からくる理由がメインだと思うんだよね。ジュスティーヌ・エナンはこの快進撃を始めた2003年の前の2002年11月16日にピエール=イブ・アーデンと結婚したんだよ。翌年から彼女は「ジュスティーヌ・エナン=アーデン」( Justine Henin-Hardenne )と名乗るようになり、 2003年全仏オープン、 2003年全米オープン、 2004年全豪オープンでそれぞれ初優勝を達成。

すべてキム・クライシュテルスとの「ベルギー対決」の決勝をも制し、ベルギーのテニス選手として最初の4 大大会優勝者に輝く時代が訪れた。だけどね、そんな結婚生活も長くは続かず、2007年、彼女は選手登録名を旧姓の「ジュスティーヌ・エナン」に戻したんだ。

その理由は 2007年全豪オープンを「個人的な理由で」欠場するという形のあと知ることになり、彼女は1月23日に公式サイトで夫のピエール=イブと離婚したことを明らかにする。

この直後の全仏オープンでは大会 3 連覇を達成。全仏オープンの女子シングルス 3 連覇は、1990年から1992年にかけて 3 連覇したモニカ・セレシュ以来の偉業。2007年全米オープンでは、2002年のセリーナ・ウィリアムズ以来となる失セットなしの完全優勝を成し遂げた。

うーん、離婚を経験して、テニスに集中することでその傷跡を癒そうとしたのかもしれないよね。そしてジュスティーヌ・エナンが引退を決めたかもしれないという二つの大会が続く。

マリア・シャラポワの急成長

007年度最後の WTA ツアー選手権では決勝まで進んだマリア・シャラポワは接戦の末、ジュスティーヌ・エナンに 7-5, 5-7, 3-6 で敗れ、 2 度目の優勝を逃す。

そのマリア・シャラポワ。年が明けて2008年最初の大きな大会 、全豪オープン準々決勝で第 1 シードのジュスティーヌ・エナンを 6-4, 6-0 のストレートで圧倒した。この二つの試合が重要なポイントとなったんじゃないなかぁ。

マリア・シャラポワは現在の世界ランキングナンバー1になり、今後もめきめきと強さに磨きがかかっていくものと思われる。マリア・シャラポワは2007年最後の WTA ツアー選手権でのジュスティーヌ・エナンとの戦いで重要な勝つための何かをつかみ、それを年が明けた2008年の全豪オープンで再びジュスティーヌ・エナンと試合をする中で見事に試し、その自分の信念を自信を持って貫いていける確信をつかんだ。

逆にジュスティーヌ・エナンは2007年最後の WTA ツアー選手権でマリア・シャラポワの急成長振りに驚き辛うじて彼女を負かし自身が優勝を果たしたが年が明けた2008年の最初の大会、全豪オープンであっけなくストレート負けした自分に動揺してしまったのかもしれない。

僕自身、ジュスティーヌ・エナンが一ゲームも取ることなくセットを落としたことなど、ほとんど過去に記憶がないぐらいの圧倒的な負けに、彼女大丈夫だろうか? と心配にもなった。

慰めてくれる暖かい存在

して今月 14 日に世界ランキング 1 位のままで現役を引退。きっと精神的に耐えられなかったんだと思う。夫との離婚後、テニスだけに集中して猛進してきた彼女もいざ自分が負けてみると、自分の周りにはその心を慰めてくれる暖かい存在がいないことに耐えられなくなったんだと思う。そのような精神的な支えが特に彼女には必要だったのかもしれない。

彼女は12歳のときに母親を癌で亡くし、父子家庭で育ったんだよね。その父親ともいろいろと問題があったような報道もされている。テニスはねぇ、相手が嫌がるところを責めるゲームでしょ。だからこれほどまで残酷になれるのか? と思うほど相手の嫌なところ嫌なところを攻め続けて勝っていかなければいけないスポーツなんだよね。

逆に言えばだからこそ絶対に信頼の置ける存在が必要なのかもしれない。自分を絶対に受け入れてくれる存在。見返りを求めないような大きな愛情を感じることが必要なんだと思う。それを失ったジュスティーヌ・エナンは、自分が負けていくことに耐え切れそうもないと判断したんじゃないかなぁと思うんだよね。

マリア・シャラポワに負けた全豪オープンの後、きっとものすごい孤独だったと思う。泣きそうなんだけど、それを歯を食いしばって耐えている彼女を見るのは辛い。ジュスティーヌ・エナンは人間的な愛情を求めているんじゃないかなぁ。

彼女の強力で美しい片手バックハンドのストロークを見ることができないと思うとさびしい気もするが、彼女が圧倒的に負ける姿も見たくないのでよかったのかもしれないなぁ、と思うようにしている。

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