モチベーションその2、マスタリーへいたる手段としての関与

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モチベーション

モチベーションその2、マスタリーへいたる手段としての関与

回もモチベーションについての新しい考察について記述していきます。マスタリー、熟練というレベルに到達するには何が必要なんでしょうか? スポーツの世界では練習上手の人はその競技、種目でのレベルが高い、という話しを聞きます。きっとそのような選手は誰からも強制されることなく自分自身を常に客観的に眺め、どのようにすれば自分のパフォーマンスが向上するのかを日々、探って実行に移して検証しているのではないでしょうか?

(モチベーション2.0)のゴールは特定の事項を特定の方法で実行するように促すこと、つまり他人を従わせるということだ。そのためには、美味しい人参を目の前にちらつかせて、時々ムチを与えて脅かすことが、もっとも効果的な動機付けとなる。当然ながらこれが自己実現へといたる道である場合はまずない。だが経営上の戦略としては、ある程度筋が通っている。20世紀の大半の仕事であったルーチンワークでは、従順な労働者を雇えば大概は上手く機能していたからだ。

だが、もうそのような時代ではない。21世紀において中心となる仕事では、そのような戦略は十分と言えないどころか、はなはだ不十分である場合が多い。複雑な問題の解決には、探究心と、新たな解決策を試そうとする積極的な意志が必要だ。(モチベーション2.0)が従順な態度を求めていたのに対し、(モチベーション3.0)は積極的関与を求める。それだけがマスタリー、すなわち物事に熟達することを可能にする。マスタリーの追求は、その重要性にもかかわらず第三の動機付けの中ではあまり目立たないことも多いのだが、経済の発展においては必要不可欠となってきている。

メとムチ戦略は日本の高度経済成長の一役を担ったと言っても大げさすぎることはないでしょう。毎日勤続して働いていけば、今日よりも明日は良い暮らしができるという実感を毎年感じることができるのならば単純労働、アメとムチの関係性でも問題はなかったのだと思います。

ですけど現代は情報化社会となり日本だけでなく、海外との意思疎通、複雑なルーティンワークなど多種多様化してきておりマーケットで頭角を現すには短所をなくしていくよりも長所を伸ばしていく戦略のほうがロングテールに埋もれてしまう確率を低いものにしてくれるのではないでしょうか?

この長所を強く意識して伸ばしていくことで個々の企業なり、個人なりの生産性も向上、それらの環境が積極的関与を生み出し飛躍できる体質へと変化していくのでは、と考えております。

自己目的的経験

遊びの最中には、チクセントミハイが「自己目的的(Autotelic)経験」と名づけた心理状態を多くの人が経験している。これは、ギリシャ語のauto(自己)とtelos(目標や目的)に由来する言葉だ。自己目的的経験では、目標は自己充足的だ。つまりその活動自体が報酬にあたるのだ。チクセントミハイによれば、博士課程の研究で彼が観察した画家たちは、制作に夢中になるあまり、まるでトランス状態に入っているかのようだったという。画家たちにとって時間はあっという間に過ぎ去り、自意識も消え去った。

彼はほかにも、この種の趣味や仕事に引き付けられる人・・・ロッククライマー、サッカー選手、競泳の選手、洞窟探検家など・・・を探し当て、インタビューを行い、活動を自己目的的にしているものの本質は何かを突き止めようとした。だが、このときにはもどかしい思いをした、と彼は言う。下の囲みの引用にあるセバスチャン・コーの表現にあるように、何が彼をそれに駆り立てているのか知りたいと思っても、有効なヒントは得られなかった。「登山や音楽演奏の最中にどう感じるのか、思い出そうとしてもらっても、きわめて画一的で表面的な、当たり前の話しか聞けなかった」。

かに没頭しているときって時間が経つの本当に早いものです。無意識のうちに自分は深く集中していて脳内が覚醒しているかのごとく、奇麗に思考展開した視界が開けてくる。自己目的的経験に自分の時間を当てているとき、もしかしたら幸福度は高いのではないだろうか、という仮説が浮かんできます。

フローについて

もっとも重要なのは、フローにおいては、やらなくてはならないことと、できることの相関性がぴったりと一致する点だ。課題は簡単すぎず、難しすぎない。しかし現在の能力よりも一、二段高く、努力という行為そのものがなければ、とても到達できないレベルのことをほぼ無意識のうちにやっている。これが心身を成長させる。このバランスが、その他の月並みな体験とはまったく異なるレベルの集中と満足感を生み出す。

フローの状態ではその瞬間を極めて深く生きており、完全に思いのままになると感じ、時間や場所、自分自身でさえ存在を忘れるような感覚を抱く。当然フロー体験で人は自律的である。だがそれ以上にその活動に打ち込んでいる。詩人のW・H・オーデンが詠ったように「その仕事に没頭している」。

単すぎず、難しすぎない。なんだかキーポイントです。学校教育が今後大きく変わっていくのは必須ですからこれは参考になるのではないでしょうか? 教師は生徒が自分で勉学に励んでいけるように仕向けることになると思うんですけど、そのときの課題の与え方で教えることが上手な先生と、下手な先生に分かれそうな気がします。

仕事を遊びへと変える

賢明な企業がフローに配慮した環境を整え、従業員のマスタリーの機会を高めるために取るもう一つの戦略は、ソーヤー効果の肯定的側面を引き出すことだ。第2章で紹介した、外発的動機付けが遊びを仕事に変えた話しを思い出してほしい。この流れを逆にすること、すなわち、仕事を遊びへと変えることも可能だ。

中には、自動的にフローの状態を見出せない業務もあるが、それでも業務は遂行しなくてはいけない。そのため、聡明な企業は、日常的業務になりがちな仕事を、フローを引き起こすようなやり方に変えて実行する自由を社員に認めている。

度は職場での話し。生徒と先生の関係がここでは経営者と従業員の関係になっている。仕事を遊びへと変える。簡単すぎず、難しすぎない。日常業務になりがちな仕事を如何にして個人が没頭できる仕組みとして改良できるかどうか? 職場の生産性が上がるのも、その結果競争力が高まるのもこのような視点に立って、個人、企業の競争的優位性をマーケットでスピーディーに展開していかないといけない環境になってきているようです。

固定知能観と拡張知能観

ドゥエックによれば、人は知能に関して二つの異なる観念を抱いているという。「固定知能観」を抱く人は知能とは存在する分しかないと考える。もともと限られた量しか備わっていないので、増やすことはできないという考え方だ。一方「拡張知能観」を抱く人は異なる見方をする。知能は人によって少しは異なるかもしれないが、最終的には努力によって伸ばすことができると考える。

肉体的資質になぞらえれば、拡張知能観の人は、知能を体力のようなものだとみなす(体力をつけ、筋肉をつけたいなら、バーベルを挙げるか鉄分を含むほうれん草を食べればいい)。固定知能観の人は、知能を身長のようなものだとみなす(成長がストップした後にもっと背を高くしたくても、残念ながら無理な相談だ)。

知能が定められた量しかないと考えるなら、教育や仕事の経験はすべて、自分にどれくらいの知能があるかという測定手段となる。知能を増やせると考えるなら、教育や仕事上の経験は成長する機会となる。片や、知能は(残高を)証明するものという見方で、片や、知能は(どこまでも)発達させるものという見方である。

二つの知能観

ドゥエックの発見は、(モチベーション2.0)と(モチベーション3.0)の基礎をなす行動的特質を、うまく描いている。タイプXは往々にして、固定知能観を内包し、学習目標よりも達成目標を好み、努力しなくてはいけないのは自分が弱点を持っている証拠として、努力そのものを見下す。

タイプIは、拡張知能観を持ち、達成目標よりも学習目標を重んじ、人生にとって大切と思われる能力を向上させるためには努力をいとわない。前者の思考が前提ならば、マスタリーは不可能だ。後者の思考ならば、マスタリーは必然となる可能性を秘めている。

すべての人は拡張知能観を信じて一生何かを学び続けなくてはいけない。拡張知能観はマスタリー(熟練)へ繋がる。長期的視野に立ち、コツコツと成長過程を意識しながら前進していく。

卓越性の日常化

彼によれば、「かつては天賦の才だと思われていた多くの資質が、実は、少なくとも10年間の厳しい訓練の結果であると判明した」。

スポーツでも音楽でもビジネスでも、マスタリーには長期間(一週間とか一ヶ月ではなく、10年間)にわたる努力(困難で、うんざりするような、つらい、全身全霊を傾けた努力)が必要とされる。社会学者のダニエル・チャンブリスはこれを、「卓越性の日常化」と呼んでいる。

彼は、オリンピックの競泳選手を3年かけて調査した。その結果、最善の結果を出す人は概して、ほとんどの時間と努力をきわめて地味な運動を繰り返し練習することによってレースに備えているという事実に、チャンブリスも気付いた。

IQやそのほかの共通テストの成績よりも、根性が将来の成績を予測する材料になる、とウェスト・ポイントの士官候補生について調査した研究者たちが明らかにしたが、これもほぼ同じ理由からである。

「懸命な努力の重要性は理解されやすいが、目標を変えずにたゆまず時間をかけて努力を続けることの重要性は、あまり認められていない・・・どの分野においても、高い目標を成し遂げるには、才能と同じくらい根気と根性が必要になる」

このところは社会で広く認識され始めている真実だと感じます。10年間というのは一つの目安です。一日何時間費やすのか? 2、3時間だったら10年間、5、6時間だったら5年間、13時間だったら2年間、という具合です。

フロー体験

フローがここで、二つの方法で関わってくる。どうすればフローを体験できるか意識していれば、熟達を目指す時間や熱意をどのような活動にあてればいいのか、明確なイメージを抱けるはずだ。また、卓越性を追求する過程で、フロー体験はつらい時期を乗り切る助けになる。

だが結局マスタリーとは、精を出して励んでもほとんど進歩が見られず、おそらく数度のフロー体験に励まされて少しだけ前進し、次に、少しだけ高くなったプラトー(一時的な停滞の状態)でもめげずに、再び根気よく励む、という経験の繰り返しを意味している。確かに、骨が折れるだろう。だが、これは問題ではなく、これを続けることが唯一の解決策なのだ。

キャロル・ドゥエックは言う。「努力とは、人生に意味を与える諸々の事柄の一つである。努力するということは、その対象となるものに意味があるとあなたが見なすことである。それが重要だからこそ、人はいとわずに努力するのだ。もし何にも価値を見出さなかったり、価値あるものに向けて熱心に努力しないようであれば、あなたの人生は不毛となるだろう

スタリー(熟練)とは結局自分の好きなことを早く見つけることと関係があります。自分が没頭できる何か? 誰にも強制されることなく自ら進んで自分の時間とエネルギーをその好きなものの対象へと費やすことができる仕組み作り。そのある好きなものがマーケットでお金を稼いでこれるものだとプロフェッショナルというレベルに達するまで、そんなに時間はかからないのでしょう。

マスタリーの本質

これがマスタリーの本質と言える。つまり、マスタリーは漸近線である。近づくことはできる。それを目指して進んでいくことはできる。後もう少し、ほんの少しで達するほどに接近はできる。しかしセザンヌの苦悩と同様に、決してそれに達することはできない。マスタリーの完全な実現は不可能なのである。

史上最強のゴルファーと言われるタイガー・ウッズは、自分はもっと上達できる・・・上達しなくてはいけない・・・と、何回も語っている。彼がまだアマチュアだった頃にも言っていたセリフだ。

たとえ試合で最高のスコアを出したときでも、過去最高の成績を収めたシーズンを終えたときでも、同じセリフを言うだろう。ウッズはマスタリーを追求しているからだ。これはよく知られている話だ。知られていないのは、彼は決してそれに到達できないと自分でわかっている、ということだ。マスタリーは、常に彼の手の届かぬところにある。

マスタリーの漸近線は、欲求不満を引き起こす。なぜ、人は完全に到達できないものを求めるのだろうか。だが一方でそれが魅力でもある。だからこそ、到達しようとする価値がある。喜びは、実現することよりも追求することにある。とどのつまり、マスタリーはどうしても得られないからこそ、達人にとっては魅力的なのである。

スタリー(熟練)の本質、何かを追求していく対象物は誰か才能を持った人物の特権ではなく、誰もが持ちうるべきものであり、誰もが自身の人生過程で多くを費やすべき幸せへの方程式(自己満足感)であるべきなんだろうと感じます。

自己目的的経験の構成要素

チクセントミハイの発見の中でさらに目を引いたのは娯楽よりも職場でのほうがフローの状態がはるかに達しやすいという点だった。仕事は往々にして多くの自己目的的経験の構成要素を含んでいる。

つまり、明確な目標、即座に得られるフィードバック、能力で十分に対応できる課題などのことだ。そのときには、仕事を楽しめるだけではなく上手くこなせる。だからこそ、大勢の人からこのような体験を奪う職場環境を、組織が容認しているのは奇妙な話しなのだ。もう少しゴルディロックス的な仕事を与えれば、ソーヤー効果のポジティブ面を発揮させる方法を探せば、組織の大きな目的の実現に役立ち、組織で働く人々の人生も豊かにできるはずだ。

チクセントミハイは、この重要な事実を30年以上も昔に把握していた。当時、彼は次のように記している。「仕事とは関連性のない遊びだけを楽しめて、人生で取り組む真剣な仕事を耐え難い重荷として耐えなくてはならない、と信じる理由はもはや存在しない。仕事と遊びの境界が人為的なものだと気付けば、問題の本質を掌握し、もっと生きがいのある人生の創造という難題に取り掛かれる」

営者が新たな視点に気付いて仕事場の環境を整えている、または改良しようと努力を重ねている組織は強いです。何かを創造する楽しみは毎日仕事をこなしていく過程でとても重要になってくるのではないでしょうか?

目的の駆動力

タイプIを支える三脚のうち、2本の脚である(自律性)と(マスタリー)はきわめて重要だ。ただし、バランスを保つためには、3番目の脚も必要になる。それにあたるのが(目的)で、最初の2つに背景を与える役割を果たす。マスタリーを目指す自立的な人々は、非常に高い成果を上げる。だが、高邁な「目的」のためにそれを実行する人々は、さらに多くを達成する。きわめて強く動機付けられた人々・・・当然ながら、生産性が非常に高く満足度も高い人々・・・は、自らの欲求を、自分以外の「より大きな目的」に結びつけるものだ。

・・・中略

(モチベーション3.0)は、人間の本質のこの側面を取り戻そうとしている。世界中のベビーブーマーは、彼らのさしかかったライフステージとその巨大な人口規模のために、「目的」をどのように取り込むか思考に取り掛かった。

「感情を刺激する役割として考えた場合、“富の最大化”という目的だけでは人間のエネルギーを十分に結集するだけの力はない」と、戦略の権威(でベビーブーマー世代)のゲイリー・ハメルは語る。

前章で述べたように驚くほどの数の労働者が仕事に熱意を失っているという事態が生じる一方、これと対をなす事態が起こっている。それは、とくにアメリカでボランティア活動が同じぐらい急増しているという事態を指す。企業はこれにようやく気付き始めたばかりだ。こうした相反する方向性・・・報酬のある雇用への積極的関与が減少し無償の努力をいとわない人々が増加する・・・は、有給の仕事だけではどうしても得られないような方法でボランティアが人々の心を育んでいることを示している。

利益を得たいという動機は影響力があるものの、個人にとっても組織にとっても十分な機動力とはなりえない。これまでは非現実的だとして、ないがしろにされてきた同じくらい強力なエネルギー源を、「目的の駆動力」と呼んでもいいかもしれない。これは、2つのOS間に存在する大きな相違の、最後の一つに当たる。

(モチベーション2.0)は、利益の最大化を中心にしていた。(モチベーション3.0)は利益を否定はしないが、「目的の最大化」を同じくらい重要視する。この目的という新しい動機の兆候を、目標、言葉、指針という組織における3つの領域で見て取れることができる。

ランティア活動がアメリカでは活発化してきている、という動きは今後の日本でも参考になるのではないでしょうか? 利益重視の仕事環境は当たり前といえば当たり前ですけど、もっと人間らしい活動、人類の進化にプラスを与えるような活動は無償、無益で取り組んでもその目的達成となる対象が大きいため、十分に個人の心の充実感を満たしてくれるものだと思います。

ウィキペディアの精神や、オープンエデュケーションの精神とも重なるんですけど、一人一人が蓄えてきた知識や知恵は自身内でストックしないでどんどんアウトプットを意識して広く大衆に向けて発信して欲しいです。

日本社会で言えば戦争体験者のお言葉であり、お年を召した方からの昔ながらの日本文化、風習などであり、団塊世代の人たちならば企業文化で培ってきた様々な叡智を日本社会のため、日本人のために公開していく。

ボランティア活動として(ベビーブーマー世代が)引退してからの人生はブログで後世に伝えていくことなど、高齢化社会の中で生きる人々に充実感を与える仕組みづくりは簡単に手に入るはずです。そうしていくと「 ネットに超クールな“職業データベース”が出来つつある 」のエッセイの中で記述されているようなデーターベースも質の高いものになっていくでしょうし、日本人にとって、日本民族にとって価値ある情報の固まりになることは間違いないでしょう。

言葉は重要

言葉は重要だ。注意深く耳を傾ければ、これまでとは少し異なる、もう少し目的志向の言語が聞えるかもしれない。前述したゲイリー・ハメルは、「マネージメントの目標は通常、「効率性」とか「メリット」「価値」「優位」「焦点」「差別化」のような言葉で表現される。こうした目標も重要だが、人の心を掻き立てる力には欠けている」と指摘した。

さらにハメルは、ビジネスリーダーは、「日常のビジネスの営みに、名誉や真実や愛、正義や美のような、深遠で魂を揺さぶる思想を吹き込む方法を探す必要がある」とも語った。人間味あふれる言葉を用いれば、自ずと行動もそうなるかもしれない。

随分と高尚な話になってきました。でも競争していくマーケットが今後拡大していくのであればこのような視点に立った職場作りを目指していかないとサバイバルできないということでしょうか? 人材は人財ですけど、このことを深く意識した経営者に出会えることはある意味幸せなのかもしれません。

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