男子ウィンブルドンテニス決勝2009、アンディ・ロディック対ロジャー・フェデラー


ロジャー・フェデラー

男子ウィンブルドンテニス決勝2009、アンディ・ロディック対ロジャー・フェデラー

ファエル・ナダルが膝の怪我のために出場しなくなった今年のウィンブルドン。始まる前からちょっとその点ではがっかりしていたけど、いざ始まってみるとアンディ・ロディックもロジャー・フェデラーも今回のウィンブルドン決勝に登場するに相応しい勝ち抜きをしてきた感がある。

特にロディック対レイトン・ヒューイットの試合はナイスゲームだった。ヒューイットは前の試合でフアン・マルティン・デル・ポトロを破っており、おっ今回のウィンブルドン、もしかしたらヒューイット、勝ち進むかもしれない、と思っていたからだ。しかし、ロディックも調子が良かったのだろう、二人のフルセットの死闘を制したのはロディックだったのだ。

フェデラーの方も先の全仏オープンで優勝しキャリア・グランドスラム達成、グランドスラムも14と決め、あのピート・サンプラスと並ぶこととなった。去年のウィンブルドンでは悔しい思いをし、今年の全豪オープンでもナダルの前に屈辱を味わった。

そのナダルは膝の怪我のために出場していない。グランドスラムの記録を更新できるとすればここしかない、と一気に勝ちを、という思いがひしひしと伝わってきていた。

ロディックはフェデラーに過去の成績から判断すると勝てていない印象を持ってしまう。 果たして今年のウィンブルドンにはドラマが潜んでいるのだろうか? 去年を上回るような素晴らしい試合展開になるのだろうか? ゲームはどちらも最後まで気合の入った集中力を見せ、まさか! という展開になったのだ。

第1セット

者のファーストゲーム、両者とも簡単に自分のサービスゲームをキープ、お互いファーストサーブも調子がいいようだ。ロディックのファーストサーブの速さは恐ろしい、速い上にコートは芝生だからボールが地面に着いた瞬間加速して一気のびていく。強烈なスピンがかかっている証拠だ。フェデラーのサーブはどうだろう?

素人から見るとフェデラーの方のサーブだったら取れそうな感じがするんだけど、エースを奪う比率はフェデラーも高い。きっとコートに落ちる角度、コース、スピード、両サイドの打ち分けが素晴らしいのだろう、的を絞らせないというか。

今日のロディックは落ち着いている。まだゲームが始まったばかりということもあろうが、集中できているのがわかる。打ち合いのラリーになっても相手コートの左右にボールを振り分け、素早くネットへと詰め寄り早いラリー数で勝負を決める。フェデラーがアプローチショットを仕掛け、ネットに寄せても落ち着いてパッシングショットを決めてくる。今日のロディックは調子がいい!

それにしてもフェデラーの落ち着きは何なんだろう? 自分のサービスゲームを落としそうになっても決して慌てない。何だかんだと最後には自身のサービスゲームをキープする。大きく崩れないというか、さすがグランドスラムを14も獲得してきた王者フェデラー!

5-5、ロディック、すでにたくさんの汗をかいている。暑さの性もあるだろうが背中のユニホームといい帽子の中の髪の毛は汗でびっしょりだ。それに比べてフェデラーは相変わらず冷静、感情が表情に表れない。深く集中している証拠かな、こういう時のフェデラーの精神状態はきっと“無”の状態なんだと想像する。

1セット目、終わってみれば7-5でロディックが1セット目先取。両者ともほとんど自分のサービスゲームをキープする展開が続き、6-5でロディック、リードのところ、フェデラーのサービスゲームを始めてブレイク。これでロディック、まずはゲームを有利に展開できるだろう。

第2セット

変わらずロディック、集中できている。一つ理由があるとすれば、結婚したことが大きいかもしれない。(2007年秋以降交際を続けていた水着モデルのブルックリン・デッカー(Brooklyn Decker)と結婚した)これで精神的な安定を得たのかなぁ、我慢ができるようになった気がする。

そういえばフェデラーもほとんど同じ時期に結婚している。こちらの方は長い間、彼女だったミルカ。彼女、いつもフェミリーボックスからフェデラーを見つめ見守っている。彼女を見ているとフェデラーにプレッシャーを与えていないのが伝わってくる。フェデラーの良き理解者なのだろう。

ロディックのサービスゲーム、40-0、40-15と相手にDeuceまでの機会を与えていない。ファーストサーブの調子がものすごく良い。一方フェデラーのサービスゲーム、40-30、Deuceとか際どいところでサービスゲームをキープしている。序盤の試合内容はロディックのほうが押している感じだ。

しかし王者フェデラーは冷静、あのポーカーフェイスの下に隠された勝利への情熱を見誤ってはいけない。俺が負けるはずない、というようなオーラがフェデラーから常に出ているようでロディックの戦いぶりは120%全力だ!

「ロジャーがこれほど野心的なのは、彼が100%スイス人ではないからでしょう」。こう言うのは、フェデラーの最初のコーチ、セップリ・カコフスキー氏だ。彼は、「ロジャーの冷静さはスイス人の父親譲り。しかし、野心や意志力は南アフリカ出身の母親から受け継いだもの」と説明する。(  抑制の利かない10代から、偉大なプレーヤーへ  )

6-6、お互い譲らず2セット目はタイブレイクへ、こうなるとフェデラー有利、タイブレイクになった時のフェデラーは強い。しかし5-1とロディック絶好調のままここでコートチェンジ。6-2となってロディックはセットポイントを迎える。

だが王者フェデラーはここでも諦めない、慌てない。6-3、6-4、6-5となりロディック追い詰められたところで自身のサーブ。バックハンドのボレー、チャンスだったんだけどボールは大きくコートを外れる。これで6-6とタイ、またコートチェンジだ。

ロディックのプレー、プレッシャーからか動きが小さくなっているようだ。自身でのサーブでのポイントを落として今度は6-7とフェデラーがリードする。フェデラーのサーブ、ここで決めることができるという事実が強い証拠である。後一歩というところでもたつかないのだ。ロディック、強気に勝負できなかったところが悔やまれる。これで1セットオール。

第3セット

ディックの気持ちの切り替えはできているか? 頑張れロディック! 2セット目はタイブレイクの末、落としたけれどまだ自分のサービスゲームはここまで一つも落としていないのだ。

うーん、フェデラーのバックハンドは美しいねぇ、奇麗に振りぬいている。3-2でリードしていた第6ゲーム、ロディック初めて自身のサービスゲームで相手フェデラーにDeuceの機会を与えてしまう。ロディック、ここは踏ん張って3-3、フェデラーは調子を上げてきたようだ。

5-4でフェデラーがリードの第10ゲーム、ロディックのサービス、ちょっとロディック疲れてきたのか、それとも暑さのためか、一瞬の気の緩みが簡単なミスにつながり、稀にラリーの途中で現れるようになってくる。ロディック、ここでも踏ん張り5-5とした。

第11ゲーム、フェデラーのサービスゲーム、完璧に調子が乗ってきたフェデラー。15-0、30-0、40-0と一気にサービスゲームをゲット。これで6-5とフェデラー。

第12ゲーム、ロディックのサービスゲーム、15-30とロディックピンチ! しかしこの日17個目のエースで30-30とし、次のポイントも決め40-30と逆転。最後はフェデラーがミスして2セット目に続き3セット目もタイブレイクへと。フェデラーのサービスから。

ここでの試合運び、ロディックの攻めが単純すぎると感じた、これではフェデラーを負かすことはできない。4-1となったところでフェデラー、“Come On”がでる、5-1となりコートチェンジ。頑張れロディック、2-5、3-5とまで挽回したぞ! しかしやっぱり王者フェデラー、6-3とリード。

次のポイント、ロディックはフェデラーのフォア側へアプローチショットを放つ、これが甘い、簡単に切り返されている。4-6、5-6とまで追い詰めたけどここでも王者フェデラー、貫禄勝ち、7-5と第3セットを取得、フェデラーの2セットリード。

2007年のドバイ・オープンで4度目の優勝を手にした後、フェデラーは次のように語っている。「以前は、大切なのは戦術と技術だけだと思っていました。でも最近は、たいてい精神面や肉体面の方を重視するようになっています。

もっと動きを良くするように、イライラしないように、そしていつでもポジティブに考えるようにと心がけています。これが今までで一番進歩した点ですね。今ではプレッシャーがかかっていても、物事をはっきりと見極められるようになりました」

カールステッド氏も、フェデラーのライバルたちの分の悪さを認める。「とにかくロジャーはすべてを持ち合わせているのです。彼ほどの技術的および肉体的な基礎、そしてスポーツの基礎を身につけていればおそらく戦いの4分の3をすでに手中にしていると言ってよいでしょう。

スポーツ選手に特有の強靭な精神からくる大きな自信がそこに加われば、ロジャーはもはや実質的に無敵です。そして、その大きな自信をロジャーは間違いなく持っているのです」(  抑制の利かない10代から、偉大なプレーヤーへ  )

第4セット

ップスピンが鋭くボールにかかっているとどうなるか? あっボールはこのままコートから外れるだろう、と思ってラインとボールの落ち際に目が一瞬行ってしまう。ところがトップスピンがかかったボールはラインギリギリのところで落ち、コートイン、ボールから目を外してしまいそれがリターンミスへと繋がる。

フェデラーのリターンをロディックがミス、というようなパターンが出始める。ロディックが早く勝負を決めたいという焦りの気持ちだろうか? フェデラーは涼しい顔をしているがロディックの方はすごい汗の量だ。

4セット目に入ってもロディックのサーブ威力は衰えていない。ファーストサーブではガチーンと強烈に打ち放ち、セカンドサーブではもの凄いスピンをかけてくる。フェデラーのリターンはコートから外れることが多い。ロディックのサーブを攻略できないようだ。

第4ゲーム、ロディックにチャンス、フェデラーのサービスゲームをブレイクするチャンス。15-40からフェデラーがポイントを奪い30-40。ここでロディック勝負を仕掛ける。フェデラーがネットにアプローチしたところ、ロディックのバックハンドからストレートに抜けるパッシングショット、これをフェデラー、リターンミス。ロディックが第1セットに続き、この場面でフェデラーのサービスゲームをブレイク、これで3-1と一つリード。

それにしてもフェデラーのラケットコントロールは変幻自在に多彩なショットを返してくる。一定のリズムではなく、時に力強くポイントを奪いに、時に相手のパワーがかかったボールの勢いを殺すかのようにソフトなリターンを応酬する。このショットの使い分けがフェデラーの強みだろう、相手をリズムに乗せないのだ。

フェデラーの強烈なサーブも武器だ! いくら相手がラリーの末、ポイントを取っても次のファーストサーブでズドーンと一発でポイントを決めてしまう。No Touchで相手横をすり抜けていくエースは敵の調子の波に乗りたい勢いを潰してしまう。

順調に両者とも自身のサービスゲームをキープ、第4セットはあっという間に5-2までロディックリードのまま進み、フェデラーの第8ゲーム取得で5-3、第9ゲームはロディックのサービスゲーム。0-30からポイントを重ねていき逆転、ちょっと手こずったけどロディック、第4セットをゲット。あぁ、やはり今年もフルセットへ行くのか・・・

第5セット

こまでの戦いぶりを振り返ると、去年の試合と明らかに違うところは試合全体の進み具合だ。両者のファーストサーブが良いためあっけなくエース、ポイントを稼いでゲームを進めていく。ラリーも続くことがあるが早い時点で勝負が決まる。このような展開で進んでいるから、試合が始まってから2時間50分も経っていないのだ。

ロディックは自分のサービスゲームをまだ一度も落としていない。一方フェデラーは第1セットと第4セット、2つ自分のサービスゲームを落としている。これでロディックは2セット取得。フェデラーが2セット取ったのはタイブレイクまで行った第2セットと第3セット。

フェデラーが勝つにはロディックのサービスゲームをどこかで攻略しなくてはいけない。ウィンブルドンのルールでは第5セット、タイブレイクは存在しない。

フェデラーの身体を狙うロディックの強烈なサーブ。フェデラーは相変わらずロディックのサービスゲームに手こずっていてブレイクポイントまで持っていくことさえできない。ゲームは淡々と進んでいく。4-4とどちらも崩れる気配なし。

6-6、二人とも譲る気配なし。フェデラーが勝ってもグランドスラムタイトル15取得ということで歴史的勝利、ロディックが勝っても初のウィンブルドン優勝ということで歴史的勝利になる。試合は始まってから3時間ちょっとを過ぎたところ、体力は二人ともまだ充分残っている。

8-8、ロディック、フェデラーのサービスゲームをブレイクするチャンスが訪れる。15-40、しかしあっけなくフェデラーはDeuceまで持ち込み凌いでサービスゲームをキープ。これで8-9、去年は7-9まで行ったからここから先はフェデラーにとっては未知の世界ということか?

9-9、両者共、ウィンブルドンレコード更新中。フェデラーのWinnerは90を超えた。対してロディックは66。これがどのように影響してくるのか? エースはというとフェデラー40に対してロディック24。試合内容は互角だが、数字で見ると真実はフェデラーの圧倒だ!

10-11、迎えた第22ゲーム、ロディックのサービスゲーム。ここでフェデラーが久しぶりにチャンス、Deuceまで持っていくことに。しかしロディックは難なく踏ん張ることができ、11-11、この試合の結末を予想することできない。

第23ゲーム、フェデラーのサービスゲーム。3連続エース、それもNo Touch、これはものすごい武器だ。体力を温存できるし、相手の気力を萎えさせる。これで11-12。第24ゲームではロディックがお返しとばかりに40-0と一気に進め、自分のサービスゲームをキープ、12-12。

第25ゲーム、フェデラーは崩れる気配全くなし。Winnerは100を超えた、対してロディックは71。エースを淡々と奪っていくフェデラー、その表情からは彼の感情が読めないポーカーフェイス。

王者は恐ろしいほど冷静であり、集中力を持続している。12-13、この時点でやっと試合開始から4時間を越えた。二人とも第5セットだけで1時間以上もプレーしていることになる。

第26ゲーム、ロディックのサービスゲーム。ここで再びフェデラーにブレイクポイントのチャンスが訪れる、がロディックも巻き返してDeuce。フェデラーはロディックを左右に走らせている、ショットを振り分け、80%の力でリターンショットを繰り広げる。

対してロディック、フェデラーの揺さぶるストロークを必死になって走り、120%の力でリターンショットを打ち返してくる。フェデラーは緻密に計算し始めているようだ、ロディックが疲れてくるのを待っている。何とかロディックは自分のサービスゲームをキープした、これで13-13。

第27ゲーム、フェデラー、あっけなくサービスゲームをキープ。第28ゲーム、ロディックのサービスゲーム。明らかにロディック疲れ始めている。ファーストサーブが入らなくなってきた。リターンショットでもミスが続くようになる。ここでもフェデラーの表情からは何も読み取れない、疲れているのか、苛立っているのか? ロディック、なんとか自分のサービスゲームをキープ、という場面が増えてきた。

第29ゲーム、14-14でフェデラーのサービスゲーム。圧倒的だ! エースを連発、揺さぶるストローク。ロディックはコート中央で立ち尽くすことが多くなった。フェデラーを見ていると後2時間は戦うことができるといった感じ。

第30ゲーム、ロディックのサービスゲーム。0-15、0-30とロディックピンチ! リターンショットに集中力が見られない。15-30で意地のファーストサーブをエース。30-30、まだまだ諦めていないロディックの底力、観客からの声援に応えるエースといったところか、40-30と逆転、しかしフェデラーも粘ってDeuceまで持っていく。

ストロークのラリーが続かなくなった。最初のAdvantageはロディック、ファーストサーブで決める。しかし大事な場面でロディックはリターンショットをミス、再びDeuceへ。ロディックのリターンショットがコート外に、ついにフェデラーのブレイクポイントチャンス、チャンピオンシップポイント。

最後はあっけなかった、ロディックのリターンショットは大きくコート外へ。完璧にロディックは疲れていたようだ。14-16と第30ゲームまでもつれた第5セットを制したのはフェデラーだった!

今年もすごい戦いだった、3年連続のフルセット、最後の第5セットまで勝負の行くへがもつれるという展開。去年、ナダル対フェデラーのすごい試合を見たなぁ、と感じたけど、今年の試合もそれ以上に素晴らしかった。

なんとロディックは第30ゲームまで自分のサービスゲームをブレイクされなかった。そこまでしても王者フェデラーに勝てないとは!

試合内容を表した数字を見てみるとフェデラーの圧倒的という真実が浮かび上がってくる。エース、ロディック27に対してフェデラー50。Winner、ロディック74に対してフェデラー107。ブレイクポイントでの勝負、2 of 5のロディックに対して、フェデラーは1 of 7という内容。

際どい試合展開で両者譲らず、といった感じだったが試合の有利さ、試合運びの上手さ、という視点からみるとフェデラーの圧倒だったんだよ! 120%で打ち続けるロディックに対して、フェデラーは時に80%の力で、時に120%の力でと自分でペースをコントロールしていた。やっぱり王者フェデラーは強かった!

負けたけどロディックは成長したね、我慢強くなった。納得のいかないジャッジに腹を立てても気持ちを切り替えて次の展開に臨むことができるようになった。今日の戦いでかなりの自信を得ることができたのではないだろうか?

優勝したフェデラー、グランドスラムタイトル14保持者のピート・サンプラスが観戦に訪れ、本人の目の前で記録を破りグランドスラムタイトル15とする。ラファエル・ナダルが全仏オープンとウィンブルドンでとフェデラーの前に現れなかったことも味方した。強運の持ち主ということも王者の証、フェデラーはまだまだ勝ち続けるぞ!

アンディ・ロディック

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