自動車産業はどこへ行く、その3 – 電気自動車、シリコンバレーの戦略


アプテラ

自動車産業はどこへ行く、その3 – 電気自動車、シリコンバレーの戦略

ヨタ、日産、それらを取り巻く中国新興起業群の存在。中国が巨大な電気自動車市場となることは理解できました。電気自動車製造に必要なリチウムイオン電池、永久磁石モーターなどを作る際に必要な資源の確保も重要だと認識しました。中国政府の存在感、中国農村部での電気自動車産業の発展模様なども把握できました。

では自動車社会といわれるアメリカでは現在、何が起こっているのでしょうか? シリコンバレーを中心に広がるベンチャー企業の存在。オバマ政権が打ち出したGreen New Deal政策とは? スマートグリッドなるビジネスモデルとは? ヨーロッパ市場で動くインドカーメーカーの存在などを書き起こしていきましょう!

魚がモチーフ? アプテラ

ッグスリーが崩壊する中、アメリカでも新たな動きが加速しているようです。ベンチャー企業が多く集まるシリコンバレーでアメリカのスモール・ハンドレッドが誕生しているんですけど、ターゲットは高級車というポイントが中国のそれとは違います。

例えばテスラモータース(Tesla Motors)(Google社の共同創始者のSergey Brin氏・Larry Page氏など、有名IT企業家も出資している電気自動車ベンチャー)が生産するテスラ・ロードスター、価格は1千万円という高級車ですがポルシェを凌ぐ加速が売りらしくすでに800台を売っているとか! 2年後には価格を500万円まで下げ、年間二万台の生産を目指すそうです。

もう一つ、Aptera Motorsが開発するアプテラ。発売前にも関わらす4千台以上の予約注文が殺到しているとか? このアプテラの外見がユニークで魚をモチーフにしているそうです。これは空気抵抗を削減するためとか! それに4輪車ではなく3輪を採用しています。

タイヤと地面の摩擦を減らすのが目的なんですけどこのアプテラ開発者メンバーを見て納得、IT関係、ロボット技術者、ロケットサイエンス技術者と今まで自動車会社とは縁のなかった人たちです。

車のボディも特殊加工されていて、スペシャル樹脂で作られているらしく、軽量化をめざし、と同時に鉄の3倍の強度も求めて完成させたとか! アプテラ創業者のスティーブ・ファンブロ氏が語っているんですけど、自動車関連の会社で働いた経験の持ち主にはこのような発想はできないね、固定観念が彼らにはあるからさ、と。

ビッグ3のようにならないために自動車技術で勝負できるか?

「日米自動車戦争の終結」

経営陣の質と組合との歴史的経緯、この二点以外にもデトロイトの「敗戦」に至った構造的な原因はたくさんあります。まず、指摘できるのは、アメリカという風土の問題でしょう。

広大な北アメリカ大陸は、確かに膨大な自動車の需要を生み出したわけで、正に20世紀の初頭に「流れ作業による内燃機関を使った移動車両の大量生産」という文明がこの地でスタートしたのは当然だと言えます。ですが、この広大な北アメリカ大陸には特徴があります。それはプレーリー(大平原)からグレートプレーンズへと続く巨大でフラットな空間を持っていたことです。

この地域の「平べったさ」は昼間の大陸横断便などで上空から見ると良く分かりますが、本当に平らなのです。そのために、開拓の時代から農地開発も、都市開発も碁盤の目に沿った形で進めることができています。アメリカの地図を見ますと、この中部に関しては州境も、郡や市町村の境界も、そして高速道路網も全て碁盤の目になっています。

その整然とした幾何学模様を見ていますと、この地で自動車による交通が発達したのは至極当然に見えるのですが、実はそこには大きな弱点がありました。

それは、西部山岳地帯とアパラチア以外のアメリカの道路は、どこまでも真っ直ぐで真っ平らだということです。その結果として、アメリカには「ヘアピンカーブの連続」や「軽快に駆け抜けられる中速コーナー」などというものはほとんどないのです。

ですから、ハンドルを回すのは車庫入れや駐車(それもだだっ広いので日本や欧州のような微妙なテクは不要です)と交差点の右左折、インターチェンジの出入りだけ。つまり、タイヤが外へ行くような遠心力を感じながら、あるいはタイヤがそれに耐えられずにクルマが内側に滑りそうなカーブをどう曲がるか、という問題はアメリカのドライビングにはないのです。(冷泉彰彦氏:作家(米国ニュージャージー州在住)が発信した『 from 911 / USAレポート』第387回、「日米自動車戦争の終結」)

Green New Deal政策

ーグルがシリコンバレーの新興電気自動車会社に出資している話をしましたけど、もう一つ、別のところで大きな舵取り役をグーグルは担っているんです。オバマ政権が推し進めるGreen New Deal政策というもの、巨額の資金が環境産業へと向かいます。大きな国益になる可能性のあるビジネスプランを後押し、1兆円の予算もつけました。

番組ではイリノイ州にあるアルゴンヌ国立研究所、核開発などの研究所を訪れるんですけど、そこで何を研究、開発しているかというと驚きました。電子を光の速さまで加速させる装置を導入して電池の開発を推進していたんです。アメリカ、本気ですね!

もう一つのキーワード、スマートグリッドの後押しです。シリコンバレー投資家、スティーブ・ウェストリー氏などはSmart Gridに参加する企業への投資を積極的に進めています。世界中から資金を集め、アメリカは巻き返しを狙っているようで動いているところでは人も金も物資も動いているんです!

2009年、9月上海にはこのスティーブ・ウェストリー氏、中国企業との関係強化のためある新興のリチウムイオン電池メーカーと接触しています。このスマートグリッドなるものはなんなんでしょうか?

スマートグリッド、Smart Grid

リコンバレー、グーグル本社でダン環境担当役員が説明してくれました。どうしてグーグルがここでも関連しているのか? いや、グーグルだけではなく、他のIT関連企業もこのスマートグリッドなるものに関わっているらしいのです。GE、マイクロソフト、IBM、シスコシステムズなどの大手IT企業です。

どうやらスマートグリッドとは電力をある単位で管理、運営するユニット的なシステムらしいのです。ここに電気自動車も関わってきます。現在の電気供給システムといったら大まかなところ、各地域に巨大発電所があり、そこから長距離送電網を通してスモール単位の自治体、街単位で電気を供給しているわけです。

これを将来的には変えようとしているらしく、まず電気自動車はコンセントを通して家庭と繋がります。プラグで繋がった電気自動車は家庭で最も大きな家電になる見込みで、システム的にはソーラーパネルで日中の電力を電気自動車へ送電、蓄電させます。夜、電気が足りなくなると電気自動車から家庭へ供給するという仕組み。

各家庭単位の電気ユニットシステムをインターネットでつなげて地域として管理、運営、維持します。どこで電気が余り、どこが足りないのかわかる仕組みにするわけです。この電気自動車で蓄電した電気の流通化した仕組みをスマートグリッド、Smart Gridと呼ぶらしいのです。二つのことに僕は気がつきました。

まずシリコンバレーのあるカリフォルニア州は過去、カリフォルニア電力危機を経験しています。電力自由化が始まり小売が自由化され、エンロンなどの電力取引会社によるモラルに反した価格引き上げを伴う取引などから大手電力会社が破綻するという事態がおこりこの時期停電が頻発しました。どこかの途上国じゃないですよ、先進国アメリカ国内で停電が頻繁に起こるなんてなんともなさけない!

この教訓があるんじゃないでしょうか? いや、きっとあるはずです。そしてもう一つがサーバー管理、分散処理技術と似ているなぁというもの。巨大データーセンターを管理、運営するグーグルですからこれと似たような仕組みのスマートグリッドはグーグルの守備範囲。ビジネスモデルとして世界へ展開できる可能性があると確信しているはずです。

グーグルのデータセンターは月を追いかける?

しかもこの話には続きがあり、この記事ではさらに驚くべき考えが紹介されています。それは「月を追いかける(follow the moon)データセンター」というコンセプトです。

夜間は外気温も低く、また電気料金も安くなっています。そこで、世界中のデータセンターのうち、夜になっている地域のデータセンターだけを稼働させれば、低い外気温を活用でき、しかも夜間の安い電気料金を利用できます。

これはクラウド技術者のあいだで議論されている構想ですが、グローバルにデータセンターを展開し、その負荷をダイナミックに切り替えられるグーグルであればそれを実現可能かもしれない、とこの記事「Google’s Chiller-less Data Center 」では解説されています。

それはすなわち最先端のデータセンターにとっては、構築にかかる費用よりも電気代を節約するほうがずっと重要である、ということを示しています。たしかに、最先端のデータセンターはこれまで一般に考えられていたデータセンターのイメージからは全くかけ離れた、非常識なものへと進化しているようです。( グーグルの最新のデータセンターは非常識なほど進化している )

電力業界のマテリアリティ、最近の動向

規制緩和・自由化……1995年電気事業法の改正によりIPP(卸電力発電事業者)、PPS(特定規模電気事業者)が参入。家庭市場でもオール電化などでガス・石油業界と競合。

2003年4月RPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)が施行されたが、小さい目標値(2014年度に1.65%)や、廃棄物発電を含めたことなどにより、かえって再生可能エネルギーの普及を阻害している面がある。

地球温暖化問題でCO2削減を迫られるが、原子力発電所は地震被害等で稼働率が下がり、自然・再生可能エネルギーの普及は進まない。新興国の需要増により、原油をはじめ、世界的にエネルギー資源の激しい獲得競争や、価格の高騰・乱高下が起こってきており、今後のエネルギー資源の安定的な確保が大きな課題になってきている。

石油、LNG、石炭をはじめ、ウランなどの核燃料を含む「枯渇性エネルギー」から、太陽光や風力、小水力、地熱、バイオマスなど「再生可能エネルギー」への転換がサステナビリティの観点から求められている。電力会社の発電所のデータ改ざんなどで社会的批判を浴び、安全管理に対する信頼がゆらいでいる。

柏崎・刈羽原子力発電所の地震被害、立地地域選定時の地質調査、原子力発電所の耐震性や防災管理体制などの安全性への不信が拡大している。

2015年には運転開始後30年以上迎える原子力発電所が30基を超えることから、プラントの老朽化(高経年化)による劣化などについての点検や補修整備対策、解体などの対応が迫られる。

高レベル放射廃棄物の処分地をはじめ、放射性廃棄物の処理・安全管理問題は解決されていない。六ヶ所再処理工場における相次ぐトラブル、プルサーマルや高速増殖炉による核燃サイクル計画も円滑には進んでおらず、その安全性に対する不安も大きい。

世界的には原油高、温暖化を背景に米国、中国での増設をはじめ、新興国での原子力発電所の建設が計画されているが、新興国等で安全性が確保されるか、核拡散につながらないかなどの懸念がある。( 業界別マテリアリティ検討の試み(自動車、電力、不動産業界) )

ショールームを持たない自動車会社

ーグルなどの巨大IT企業が参加してひとつのプロジェクトを推し進めようとしている、となってくるとガソリン自動車と違い、電気自動車はもっと大きな枠組みで捉える必要があるのかもしれません。

中国が出てきて、IT企業ときたらもう一つの民族が登場していないことに気がつきませんか? そうです、インド人です。しかし、フランクフルトで行われたモーターショーにインドからのスモール・ハンドレッド、レバ(REVA)が登場していたんです。

レバ創業者はチェタン・マイニ氏、6年前にヨーロッパ進出を果たしました。道幅の狭いインドという社会インフラで培った知識と技術が、同じ道幅の狭いヨーロッパでも受け入れられたのです。24カ国の販売網を展開、ヨーロッパ各国の温暖化対策に対応したことでマーケットシェアを広げていきました。

その一つロンドンではレバの販売台数、1000台を超えました。ロンドン街中心地を走るのにガソリン車では一日1200円の渋滞税(Congestion Charge)を支払いますが、電気自動車は無料。多くの場所で駐車場も無料、自動車税もかからないそうです。

マーケティングの仕方がユニークで、口コミマーケティングです。レバはショールームを持たないんですね! レバの持ち主、ディラーからの依頼でレバに興味のある人を紹介されます。レバに試乗してもらうためのはからいをセットアップするだけ、謝礼は1回1500円、と環境意識の高い市民たちへの普及に貢献しているそうです。

何のために車は必要なのか? 社会的視点

  • テーマ:ポストモータリゼーションビジョンの提示( 業界別マテリアリティ検討の試み(自動車、電力、不動産業界) )
  • 理由:従来のモータリゼーションは環境・市場容量的に限界。低炭素社会、高齢社会に対応した新たな交通システムや人と物流のスタイルに関するビジョンが必要
  • ポイント:自動車のもつ本質機能・サービス(モビリティ)を見据えた事業ビジョン、他の交通手段との有機的連携による交通システムビジョン、低炭素都市型の交通システムや過疎高齢化の地域の公共交通を補完する自動車活用のビジョン

先進国、新興国のドライバー

  • テーマ:ユーザー、ドライバーとの協働( 業界別マテリアリティ検討の試み(自動車、電力、不動産業界) )
  • 理由:自動車事故の防止や環境負荷の軽減はユーザー、ドライバーの協力なしには実現しない。女性、高齢者ドライバーの増加による安全問題、自動車の構造・機能への無知の拡大
  • ポイント:ユーザー、ドライバーの自動車利用の実態や意識、エコドライブなどドライバーの運転技術やメンテナンス知識の普及策とその実績・効果、製品不良、クレームに関する情報提供の実績

新しい自動車工場の役割

  • テーマ:要員調整の実態と公正な人事労務管理( 業界別マテリアリティ検討の試み(自動車、電力、不動産業界) )
  • 理由:世界的な生産調整による要員調整が不可避、外国人労働者、偽装請負、ワーキングプア、格差社会などの諸問題、基幹産業としてディーセントワークやワークライフバランス、ダイバーシティを実現する職場への期待
  • ポイント:ダイバーシティの実態を示す従業員構成、ディーセントワークを保証する処遇実態、ワークライフバランス諸制度の活用実態、誰もが人権を尊重される公正なダイバーシティ職場ビジョン、要員調整の実態とその際の配慮策

ガソリン自動車が勝ってしまった故に

えば20世紀初頭に2つの技術が覇権争いを繰り広げたと記述しましたけど、ガソリン自動車が勝ってしまった故に人類が得た恩恵の大きさもありがたいことですが、同時にダーク的な部分も発生させてしまったことにも注意を向けてみるべきでしょう。

生活が向上したとはいえ、それゆえに膨大なエネルギー資源を先進国は消費し続け、地球環境の破壊、オイル産出国への依存を生み出し、数々の紛争も経験してきました。

今世界中の新興国が先進国並みの生活レベルを達成しようと必死になって経済を発達させようとしています。多くの人が認識しているように、今以上の資源エネルギーを新興国がさらに消費するようになると地球が悲鳴を上げてしまうでしょう。かといって新興国側に我慢しろ、とは先進国は言えません!

電気自動車が注目され始め石油依存の生活スタイルからの脱却、代わりのエネルギー源を確保するために太陽光パネルや風力発電にも各国政府予算が割り当てられるようになってきています。

仮にアメリカが展開するスマートグリッドなるビジネスモデルが世界中で利用できるレベルにまで発展するならば、先進国はいうまでも無く、新興国レベル、いやアフリカや中南米の貧しく取り残された国々でも開発、推進できるのではないでしょうか?

Google Chrome OSの展開とも重なるんですけど多分グーグルはそのような状況、世界中が先進国と同じぐらいの生活レベル、市政インフラレベルを受けられるべき安定を望んでいるはずです。

もう一つ僕が懸念しているのがガソリン自動車社会が石油に依存して石油産出国にOPECという機関まで作らせるほどの力を与えたような情況が電気自動車社会でもできてしまうのではないか、というものです。リチウムイオン電池の原料、リチウムに永久磁石モーターの原料、レアアースなどの資源確保は新たな紛争の種になるのでしょうか?

人類は石油に関連した紛争をもう充分すぎるほど経験してきました。できればそれらの紛争を電気自動車産業が発達した社会では繰り返したくないはずです。既存の各自動車メーカーが競って自社開発のリチウムイオン電池を開発していることからもわかるようにバッテリーを制するものが電気自動車産業を制するのだとすれば、究極の願いは資源に頼らない電池製造開発。

これだと非現実的なのでレアな資源に頼らない電池開発というのならばどうでしょう? ソーラーパネルから得た電力を電気自動車が蓄電するという仕組みも可能性がありそうですが、蓄電池にも鉛やニッケルなどの資源を使いますし、難しいですね!

自動車に限らず、電車も船も飛行機までも電池で動くようになるんでしょうか?

追伸:ドキュメントシリーズ、自動車革命の音楽を担当していた菅野祐悟氏が創作したメロディーは絶品でした。あんなにもドキュメントリー内容に沿った人間の感情を上手にバックアップしたような感じで増幅させるメロディーに鳥肌がたちました! ピアノの音色が美しかったです!

テスラモータース

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