2006 FIFAワールドカップを振り返って – 歴史は己の手で作れ!


2006FIFAワールドカップ、イタリア優勝

2006 FIFAワールドカップを振り返って – 歴史は己の手で作れ!

タリアの24年ぶりの優勝で終わった 2006 FIFAワールドカップ。始まる前の下馬評はブラジルが優勝候補ナンバー1だった。イタリアはといえば、国内リーグの八百長問題で選手はじめコーチ陣に監督などぴりぴりムード全快でワールドカップドイツ大会に集中できるのか、というような環境であった。 この危機感がかえってよかったのかもしれない。

世界から注目が集まる八百長問題。イタリアの セリエ A といえば世界中が注目するリーグである。トップクラスのクラブとなると UEFA チャンピオンズリーグではすでに常連となっている。そのリーグ戦にトップクラスのチームが八百長問題で絡んでいるとすればイタリアサッカー界のイメージが激しく傷つく。

魅力あるリーグ、国内の セリエ A は自分達が普段戦っている聖なる戦場。その戦場の中から選ばれた選手たちには国内リーグを守る誇りがあったのだろう。伝統の守り「カテナチオ」も遺憾なく発揮されてゴールを許したのは結局イタリア人ディフェンスのオウン・ゴールと、ジネディーヌ・ジダンの PK のみ。

優秀な選手がフォワードでもなく中盤の選手でもなくディフェンスを目指すお国柄。決勝トーナメント最初の試合、オーストラリア戦では苦しんだものの、準々決勝相手、ウクライナで自信をつけたイレブンは準決勝ドイツとの試合でとんでもない試合を見せてくれた。

PK戦を選ぶ戦い方

0分で決着が付かなかった両チームの戦い方は、ドイツとイタリアが FIFA ワールドカップで過去どのような歴史を積んできたかでゲーム運びの内容が分かれてしまった。FIFA ワールドカップ過去4回、 PK 戦ではすべて勝利しているドイツは無難に攻め、それでいてなんとか PK 戦に持ち込めればこちらに勝機はあると読んだのだろう。

地元ホームでの開催という事実もそのような結論へ導いたのかもしれない。イタリアは FIFA ワールドカップ過去3回の PK 戦で負けている。 なんとか延長戦で決着を付けたいイタリアは速攻をしかけ、ミドルからシュートを打つなどすべての選手が積極的にゴールを狙っていた。

そしてドラマは延長後半残り2分に訪れた。 コーナキックのこぼれ玉をアンドレア・ピルロが拾い、右にドリブルをしてノールックでディフェンスのファビオ・グロッソへ絶妙のパス。それをダイレクトにシュートしたファビオ・グロッソ。 ボールはイェンス・レーマンが飛びつく右をカーブを描いてゴールに吸い込まれる。

おーぉ、と思わず叫んでしまった。 あのイタリア人の喜びようはイタリア人にしかわからない。 まさかの1点を入れられて、もうどうしようもないくらいにあせったドイツイレブンは猛攻をかけるが選手自身からあせりの雰囲気が伝わってくる。 そしてアレッサンドロ・デル・ピエロの歴史的ゴールが生まれた。

ファビオ・カンナヴァーロがボールをカットしそれをフランチェスコ・トッティが受け継いでフォワードのアルベルト・ジラルディーノへ。彼が上手かった。ボールをキープして横目でデル・ピエロの上がりを確認したジラルディーノはすかさず中へドリブルで切り込みをかける。

そこへノールックでデル・ピエロが走りこんで追いつくであろうポジションへのスーパーアシストパス。 デル・ピエロがドンピシャでボールに追いつきそのままゴール右上へとても美しい弾道を描いて吸い込まれていった。

オぉーーーーーーーーーーーーーーーー。 あのデル・ピエロの雄叫びは決して忘れない。 なんという幕切れだろう。 イタリアは自分達で勝利をつかんだ。

俺たちが歴史を作る

の勢いが決勝のフランスとの戦いにもオーラとしてイタリア選手ひとり一人に宿っていた。 世界はジネディーヌ・ジダンの有終の美を見ようと固唾をのんで見守っている。 しかし、 FIFA ワールドカップのトロフィーを勝ち取るためには一人の選手生命のラストを飾る脇役に誰が進んでなろうというものか。

イタリア選手たちには俺たちが歴史を作るんだ、というような気概を感じた。あの 1982 FIFAワールドカップで優勝したときのように、あのときの選手たちのように俺たちが歴史を作るんだ、と。あの問題のシーン・・・

フランスはジネディーヌ・ジダンを失って流れが変わったとは認めていないみたいだが、あきらかに選手自身には動揺が走っていたような。 とくに延長戦ではフランスが押していただけに悔やまれるだろう。そして運命の PK 戦。 俺たちは絶対に勝つ!

これはフランス選手たちも皆思っていただろうがイタリア選手が全員 PK を決めた結果をみれば、どちらのそれが上だったかはあきらか。運命は皮肉である。 あの PK をはずしたダビド・トレゼゲは EURO2000 のフランス対イタリア決勝で、見事に決勝ゴールを決めた選手だった。

イタリアが勝った。 自分達で掴んだ勝利。それにひきかえまた歴史的な敗北を繰り返してしまった多くの国々。 いい選手をそろえながら FIFA ワールドカップではいつも決勝トーナメントで腑がない敗北を味わうスペイン。ヨーロッパの大会では運のない南米勢。

中盤にタレントが揃っていて期待の高かったイングランドも PK 戦という敗北の歴史をまた1ページ追加することになってしまった。 唯一、ポルトガルが自分達の歴史を塗り替えるべく勝ち進んでいたがフランスの英雄ジネディーヌ・ジダンの前に屈してしまった。ジネディーヌ・ジダンはあのフランスの将軍ミシェル・プラティニを超えただろうか?

ミシェル・プラティニは僕がかつて惚れ込んだ選手だが、ジネディーヌ・ジダンにはそのような思い入れは起きなかった。代わりにもっと観たいと思わせた選手はアルゼンチンのフォワード、リオネル・メッシだった。 彼はまだ19歳。 あのディエゴ・マラドーナの再現と言われる存在である。

2010年はだれが、どの国が自分達の FIFA ワールドカップでの負の歴史を塗り替える為に活躍するのだろう。2006 FIFAワールドカップはイタリア人選手が、俺たちが歴史を変えるんだという気持ちで優勝を勝ち取った、すばらしい後味の良い印象の残る大会であった。

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