So What?, スポーツ他 - Written by B-KOOL on 火曜日, 7月 31, 2007 2:01 -
ツール・ド・フランス2007総括、ドーピング問題
フロイド・ランディス
今年もツール・ド・フランスが終わった。ツール・ド・フランスを知ってからというもの毎年7月はフランス国内を旅行するようでとても楽しい1ヶ月となる。
一昨年に7年連続でツール・ド・フランス総合優勝を果たしたランス・アームストロングが引退してから、ツール・ド・フランスでは新しいスターが誕生していない。
去年はフロイド・ランディスが山岳ステージで圧倒的な強さを示し、そのままマイヨ・ジョーヌを守り、フロイド・ランディスの時代か? と思わせたが、ツール・ド・フランスが終わってから発表されたドーピング疑惑によりいっぺんにそのような雰囲気は消し飛んでしまった。
しかしランディスが圧倒的な強さで勝利した 17 ステージの後のドーピング検査で陽性反応となる。複数の検体が陽性となった結果、ランディスの優勝は取り消された。ランディス本人は彼を陥れようとする陰謀であると主張している。
さて、ランディスの検体が示したのは、テストステロンの値が異常であるという結果であった。ランディス側はこれを「体質と股関節治療の薬物によるもの」と主張した。しかしツール・ド・フランス 2006 における ランディスの 4 回のドーピング検査のうち、テストステロンの値が異常だったのは 17 ステージの 1 回のみであり、また検体から検出されたテストステロンは同位体の比率から体外で人工的に合成されたものであることが判明し、ランディスの主張はあまり説得力を持たない。
テストステロンは継続的に使用し続けることで筋力が増強する薬物であるが、一時的な使用であってもこれらステロイド類には生体のエネルギー利用を促進する作用があり、気分の高揚、疲労の回復、水分の保持、炎症の抑制による痛みの軽減、といった効果がある。
山岳ステージの直前のみの投与なのかどうかは ” ドーピング検査に引っ掛からないためのドーピング ” も存在することから未だ事実は解明されておらず、現在もなお調査が続けられている。ウィキペディア参照
フロイド・ランディスはチームを解雇されそのチーム、フォナック・ヒアリングシステムも今後ツール・ド・フランスには参加しない、とまで発表した。
ドーピング問題再び
そのドーピング問題が今年のツール・ド・フランスにも姿を現しがっかりなものにしてくれた。
2週間目まではツール・ド・フランスの魅力を存分に発揮してファンを裏切ることなく魅了していた。最初のプロローグあり、3日間ぐらいのフラットステージでスプリンターのお披露目、そして最初の週末でまずアルプスへ向かう。
毎年ツール・ド・フランスではアルプスとピレネーの山岳ステージを設ける。ツール・ド・フランスではこの山岳ステージで強くないと総合優勝できないし、山岳で強い個人は個人で競うタイムトライアルでも強い。この最初の山岳ステージで今年は誰が優勝候補として上がろうか、というような予測が立てられる。
そして第2週目の第2の山岳ステージ、今年はピレネーだったが、の前に個人タイムトライアルがありその結果を持ってピレネーでいよいよ大詰めとなる。
今年はミカエル・ラスムッセン、アルベルト・コンタドール、リーヴァイ・ライプハイマー、アレクサンドル・ヴィノクロフ、カデル・エヴァンスといったあたりが注目され始めていた。しかし、終盤のピレネーで事件が・・・
アレクサンドル・ヴィノクロフ
まず第13ステージの個人タイムトライアルで見事ステージ優勝したアレクサンドル・ヴィノクロフがドーピング検査に引っかかり、 そのままリタイア。アスタナ・チームもツール・ド・フランスを去っていく寂しい結末だった。
2007 年のツール・ド・フランスではクレーデンやカシェチキンなど強力なアシスト陣を揃え、総合優勝の大本命と目されていた。しかし第 5 ステージで落車し両膝を負傷(落車前後の映像から判断して中継バイクとの接触ではないかとの見方が実況・解説陣では大勢を占めるが詳細は不明)。
この落車事故がステージ終盤であった為、メイン集団はヴィノ クロフを待たずにペースを上げ、ヴィノクロフはクレーデンを除くアシスト陣総出でメイン集団復帰を目指したものの、結局 1 分以上の遅れを取る結果となった。
この負傷はその後のステージにも影響し、首位をゆくミカエル・ラスムッセンとのタイム差は開くばかりで、山頂ゴールで再びラスムッセンにタイム差をつけられ号泣するシーンも放送された。
ところがヴィノクロフは第 13 ステージの個人タイムトライアルで圧倒的なタイムで勝利。ヴィノクロフ復活かと思わせたが、次の第 14 ステージでは一気に失速。ラスムッセンに 1 時間以上のタイム差をつけられ、総合優勝の夢は潰えた。
第 15 ステージでは開き直って果敢に先行し、圧倒的な力でステージを制したが、その直後に第 13 ステージでのドーピング検査で A 検体が血液ドーピング陽性と判定された( B 検体の結果が出るまではドーピング確定とは見なされない)。
アスタナ・チームは B 検体の結果を待つことなくヴィノクロフを棄権させたが、その後主宰者からの要請によってアスタナ・チーム全体がレース棄権に追い込まれた。ウィキペディア参照
ミカエル・ラスムッセン
ミカエル・ラスムッセンが見事アルベルト・コンタドールとの戦いを制してステージ優勝したが次の日、なんとミカエル・ラスムッセンはドーピング疑惑をかけられ、そのままチームから追放されてしまった。
2007 年のツール・ド・フランスでも山岳ステージで大逃げを決め、マイヨ・ジョーヌとマイヨ・ブラン・ア・ポア・ルージュを一挙に獲得する活躍を見せた。その後ライバルであるアレクサンドル・ヴィノクロフの落車事故やドーピング疑惑による途中棄権、個人タイムトライアルでの降雨など展開にも恵まれ、 第 16 ステージの山岳でも圧勝して総合優勝をほぼ確実にしたかと思われた。
しかし、このツール・ド・フランス開催前に、抜き打ちドーピング検査のため選手に義務付けられている所在地報告を繰り返し怠ったことを理由に、デンマーク自転車協会によってナショナル・チームから追放処分を受けることとなった。
これにより、 2007 年の自転車ロード世界選手権、 2008 年の北京オリンピック出場資格を失っただけでなく、ドーピング疑惑もかけられることとなる。さらに、 6 月中にチームに対し所在地を偽って報告していたことを理由に、 7 月 25 日の第 16 ステージに勝った直後に所属チームであるラボバンクから追放されてしまった。
これについてチームの広報担当者は「彼はチームから追放された。 10 時 45 分に泥棒のようにこそこそとホテルを出ていった。チームは家族だ。家族に嘘をつくことは許されない。」とコメントしている 。
一 方のラスムッセンは「自分は動物か何かのようにホテルから叩き出された」とチームの対応を批判している。またラスムッセンは引退するつもりはまだ無いとも語っている。ウィキペディア参照
もちろんその時点でミカエル・ラスムッセン、リタイア。その日にツール・ド・フランスの主催者側の会見が行われていたが、その意志ははっきりしていた。つまり、ドーピングは絶対に許さない。
ツール・ド・フランスからドーピングを徹底的に削除する、というメッセージだった。この時点で今年のツール・ド・フランスがすっかりしらけたものとなってしまった。
誰もマイヨ・ジョーヌを着ていないステージ
それまで総合2位の位置につけていたアルベルト・コンタドールは繰上げでマイヨ・ジョーヌを着ることを拒否し誰もマイヨ・ジョーヌを着ていないステージが今年のツール・ド・フランスでは存在した。
結局このままアルベルト・コンタドールが総合優勝するんだけどしらけた雰囲気はぬぐえない。それは本当に実力のある者同士が最後まで競い合うことがなかったからだ。
ディスカバリーチャンネルはまた安定した若手ホープを獲得したようだ。このアルベルト・コンタドールはミゲル・インドゥラインを思わせるような顔の持ち主であり、まだ24歳。
ディスカバリーチャンネル監督、ヨハン・ブリュイネールがこれからも健在ならば来年以降、ランス・アームストロングの記録に一歩ずつ近づいていく存在となるであろう。
ツール・ド・フランスもどうやら世代交代を迎えたようだ。
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