ほめて伸ばす
もともと人間のモチベーション(やる気)というのは、その人の好きなことや、人からほめられた経験、人から認められるといったポジティブなものからしか絶対に生まれません。いわゆる「ほめて伸ばす」という教育法は、強化学習の観点から見れば正しいやり方といえるでしょう。
もし叱るなら、そのやる気を軌道修正するときだけにしてください。行動自体を否定する叱り方は、子どものやる気を削いでしまうからです。これは子どもだけでなく、社会人にも同じことが言えるでしょう。
なぜなら、脳が喜びを感じるためには「強制されたものでない」ことが大事だからです。何をするにしても「自分が選んでいる」という感覚こそが、強化学習に欠かせません。部下や子どもの主体性を引き出すためには、どんな小さなことでもいいから自発的にやったことで「成功体験」を持たせることが大切。成功体験なしには、脳は変わってくれないのです。
アメリカにきて感心すること
あまり知られていないことかもしれないけど、僕がアメリカに来て感心することが一つある。それはよく人をほめるということ。ほんのちょっとしたことでも、ほんの些細なことでも、こちらの人はほんとよく人を褒める。
これはいいことだなぁっていつも感じるよ! 親が子どもを褒め、先生が学生を褒め、上司が部下を褒め、集団が個人を褒め、社会が個人を褒める。
You did a good job.
Well Done. That is my boy.
I am proud of you.
You look good.
Oh, I like this.
集中力
「脳を活かす勉強法」三つ目の極意は、この「集中力」です。僕は、集中力は次の三つの要素から生まれると考えています。
- 速さ – 作業のスピードを極限まで速くすること
- 分量 – とにかく圧倒的な作業量をこなすこと
- 没入感 – 周囲の雑音が入らないほど夢中になること
集中力とはその人個人の才能のことである、と昔村上龍氏が言っていた。自分はあれになりたかったけど自分には才能がなかったから、と告白する人は、自分には集中力がなかったから、と告白しているのと同じでは?
ピアプレッシャー、(無言の)圧力
しかし日本にはお世辞にも“変人”を許容する文化があるとはいいがたい。逆に「ほかの人と一緒でなくてはいけない」という(無言の)圧力があります。こうした友人や仲間、社会的通念などの周囲からの圧力のことを「ピアプレッシャー」といいます。ピアプレッシャーには大きく二種類あります。
ひとつは相手の鋭利さを加速させるようなベクトルで、もうひとつが「平均値に引き摺り下ろそう」という圧力です。前者はトリニティカリッジに象徴されるピアプレッシャーですが、日本はいつの間にか後者のピアプレッシャーの国になってしまいました。そのため、変人が変人になるようなことは、なかなか許されない環境です。
一方、アメリカやイギリスは、「変人」であることが許容されている社会です。その風土があるからこそ、変人さ – つまり「強化学習」の回路を暴走させるという習慣を、うまく経営にも活かしていくことができるのでしょう。
この他人と同じ位置にとどめるプレッシャーはほんときついよね。自分自身が自立して努力しようとすると今まで同じ位置にいた同僚から、嫌味とか言われたりね。同じ位置から飛び出そうとしている友人を見て、取り残されるほうは、ものすごーく不安なんだと思う。だから同じ位置まで引き下げようとするんだよ、社会全体でね。
安全基地の役割
安全基地の役割とは、子どもがあくまでも自主的に挑戦しようとすることを、後ろからそっと支えてあげることです。一番大事なのは、見守ってあげること、見てあげること。見てあげることこそが、安全基地のもっとも大切な要素なのです。
木の上に立って見ると書いて親という漢字になる。
自助努力
翻っていえば、自分の中に確固としたものがある人ほど、チャレンジできるということなのです。考え方が柔軟で、新しい事態にどんどんチャレンジできる人というのは、実は芯にすごく頑固な哲学や揺ぎのない自分を持っています。
逆に自分の中に確固としたものがない人というのは、安全基地がないので、がちがちに自分を守っている。
かたくなにいままでのやり方を守ろうとしたり、新しいことにチャレンジしたりする気持ちがない人は、よく観察してみると、セキュアベースがない人が多いのです。いままでのやり方を守ることによって、弱い自分を守っているのです。
自助努力。すべての人に心のセキュアを持たせるためにはどうしたらいいのだろうか? 目標を与えてあげればいいんだけど、その目標さえ今は自分で探さないといけないから大変だよね。でもスティーブ・ジョブスが言っていたけど、絶対に探すのをあきらめてはいけないって。
Steve Jobs’ 2005 Stanford Commencement Address
キーワードは「猛勉強」
僕は、これからの時代を乗りきるキーワードは「猛勉強」だと思っています。
ひえー、茂木健一郎氏にしてこうなのだ。普通の人はじゃあ、どれぐらい猛勉強をしなくてはいけないのだろう。
もう、日本人は日本人同士だけで戦っている時代ではないのはわかっているけど、日本人がひるむほど猛勉強をして追い上げてくるインド人や中国人のプレッシャーに観てみぬ不利をする人と、すこしでもいいから自分のペースで前に進もうという意志をもって毎日を生き抜いている人とでは、長い月日が経った後、そこにはとてつもないぐらいの人生の差が生じていることであろう。
カメでもいいから前に自分は進んでいるんだ、という実感が必要なんだと思う。
目次
はじめに 入学当初の僕は「できない子」だった・・・!
第1講 脳は「ドーパミン」と「強化学習」が好き
第2講 「タイムプレッシャー」が脳の持続力を鍛える
第3講 「瞬間集中法」で勉強を習慣化させる
第4講 茂木健一郎流「記憶術」
第5講 茂木健一郎の「読書のススメ」
第6講 脳のコンディションを把握しよう
第7講 自分を変える「一回性」に巡り会うには
第8講 偶有性がさらなる脳の発達を促す
おわりに 知の「オープンエンド」時代がやってきた!
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