Book Review, Myself - Written by B-KOOL on 日曜日, 11月 16, 2008 0:48 -
私塾のすすめ – 斉藤孝/梅田望夫
梅田望夫氏の「ウェブ進化論」「フューチャリスト宣言」「ウェブ人間論(日本社会とアメリカ社会が個人に与える影響について)」「ウェブ時代 5つの定理」など数々のウェブ論を展開する本を読んできたけど、ここへ行き着いたのかぁ、というのが読んだ後の感想。
テクノロジーの発展と共によく言われる個人がエンパワー( empower )できるようになったのだといわれても、果たしでどのようにして、何を活用して自分自身が如何に自分自身でいられるような便利なテクノロジーというものはなんぞや? と多くの人々が実感としてもてなかったのではないだろうか?
要はそんなに硬く、難しく考える必要などないのだ。
能動的に自分のアンテナ、感受性にあったものを拾っていき、それに対して自らも情報発信していく、そうすることによって「類は友を呼ぶ」的に自ずと調和のあった人同士が集まるようになるだろうという自然の摂理にも似たような現象を実際に行動を起こして、そういうことが可能なんだよ、ということを広く広めようとしているようであり、僕自身、多くの大人の人が理解、行動に移してくれるといいなぁ、と思った。
「レールのない時代である現代をサバイバルするには、一生学びつづけることが必要だ。では、自分の志向性に合った学びの場をどこに見つけていったらいいのか ?
本書は、志ある若者が集った幕末維新期の「私塾」を手がかりに、人を育て、伸ばしていくにはどうしたらいいのかを徹底討論する。過去の偉大な人への「私淑」を可能にするものとして、「本」の役割をとらえなおし、「ブログ空間」を、時空を超えて集うことのできる現代の私塾と位置づける。ウェブ技術を駆使した、数万人が共に学べる近未来の私塾にも言及し、新しい学びの可能性を提示する。 」
尊敬する人物を人生の師匠として設定するのが好きであると同時に、情報発信の結果として自身も塾長的な存在になってしまうという点でも「私塾体質」という点が共通する二人のダイアログ。
自分をエンパワーしてくれるブログ
ブログの利点というか、ブログを始めたほうがいいよ、という掛け声は勝間和代さんや茂木健一郎氏の著書などからも読み取ることができる。
自分の内部に発生する変化としては、情報を咀嚼しながら自分の言葉として発することは脳にとっていいことなんだよ、とは茂木健一郎氏。
自分の外回りに発生していく、自分の力の範囲やコントロールでは収まりきらないような世界が広がるよ、と呼びかけるのが梅田望夫氏の共感してほしいところなのかもしれない。
志向性が似通った人同士で活動したり、自分と志向性が似通った偉人をロールモデルとして自分の生き方を設計してことはこの上なく楽しいことだが、かつては、同じ学校の同じクラスの数十人の中から、または伝記などの書物の中から自分と志向性が合いそうな人を探すしか方法がなかった。
それが今ではネットを通じて無数の人の中から自分と合う人を見つけていくことができるし、ブログなどで自分から情報発信することで、自分と合いそうな人の方からコンタクトしてきてくれることさえある。
自分がまずポジティブであれ!
ネットのすごさってその世界にある程度、自分自身をコミットさせないと体験できないと思う。ではどうすればいいのだろうか? という答えをこの本が提供しているのだ、つまり自分自身のブログを開設する、自分自身の考え方をフランク( frank )に発していく、そうすることによって志向性を同じくした人が集まってくるから、そこから新たなポジティブエネルギーをばら撒いていく。
私塾というようなコミュニティーなんて大げさな、と遠慮してしまう方もおられるだろう、そこは肩肘張らずに自分らしく、自分なりのコミュニティーを展開していけばいいのだ。
アメリカでよく言われる成功するにはポジティブな人に多く囲まれること、などというものがあるんだけど、やっぱり自分がポジティブになってそれらの雰囲気が発せられれば自然、ポジティブな人が集まってくるというのは意識的に行いたいもの。
そういうポジティブな空間がたくさんあつまれば、やがてそれが大きなマスの力を持つようになり、群集の叡智と呼ばれる仕組みを創造できさえすれば、人々が不確かな未来を進んでいくことに躊躇しなくなるという希望は、実現不可能な事柄であろうか?
僕はそうは思わない。
日本人はもっと自信をもっていい
日本人はもっと自信をもっていいと思うんだけどなぁ!
そこに存在するのは、「時代の変化」への鈍感さ、これまでの慣習や価値観を信じる「迷いのなさ」、社会構造が大きく変化することへの想像力の欠如、「未来は創造し得る」という希望の対極にある現実前提の安定志向、昨日と今日と明日は同じだと決め付ける知的怠惰と無気力と諦め、若者に対する「出る杭はは打つ」的な接し方・・・といったものだけ。
これらの組み合わせがじつに強固な行動倫理となって多くの人々に定着し、現在の日本社会でまかり通る価値観を作り出している。
中略・・・
特に、大人たちが発する何気ない言葉の数々が、子供たち、若者たちの心を萎えさせ、悪影響を及ぼし、社会全体の活力をそいでいることを問題視しています。
村上龍氏がかつて”自分は何から逃亡しているのだろう”と語っていたところがあって、曰く、自分は日本の様々なシステムから逃亡しているのだ! というようなことを言っていたと思う。
自分の周り、自分が安泰ならば自ら変化を望むという姿勢はやっぱり生まれないだろうなぁ、ましてやそのような人が多くの日本社会を営む上での決定権となるようなポジションを占めているとしたら、変化を望むものにとっての日本社会とはイライラの対象となるのであろうことは想像に難しくない。
変化には痛みが伴うものであり、多くの人が戸惑い、もしかしたら多大なコストがかかってしまうかもしれないけれど、案外日本人というのは明治維新や第2次世界大戦後に味わった感覚のように、適応せざるを得ないならば、すっきりと受け入れてしまうのではなかろうか?
ウェブ進化は、すべての人が、不特定多数に向けて自己を表現する可能性を拓いた。ブログはその初期の道具にすぎず、これからその機能はさらに進歩していきます。
ウェブは時空の制約を超えるから、どこに住んでいても、また教育を本業としていなくても、志さえ持てば、志向性を同じくする若者たちを集め、自分がこれまでの人生で学んできたことを伝え、良き刺激を与える役割を果たすことができる。
それによって、日本社会の「もやーっとした感じ「朦朧とした感じ」と戦い、現状を打破する起爆剤の一つになれる。多くの良き大人たちが自由にそんな私塾的活動をする未来に、私は期待したいと思っています。
知的に怠惰な大人たち
大人がしっかりと社会を見つめ、自分なりの価値観なりを発していかないと、それに続く子供たちは何を見つめて、どのような対象を自分の心の中に暖めて、彼らなりに歩んでくのかの道しるべが見当たらないという環境を作り出してしまう。今の時代、これほどまでにストレスを抱え込んでいる子供たちはかつての日本社会には存在しなかったそうである。
外から見ている限り、日本の大部分の大人たちは知的に怠惰であると思う。忙しいのはわかる、しかし、静かに自分自身を見つめる、自分自身の内なる声と対話する時間を設け、決して自分自身ができる可能性を過小評価することなく、とりあえず、なんでもいいから始めてみるべきである。
自分自身の存在をポジティブに捉えて、ポジティブなエネルギーを発していくことの積み重ねが、日本社会を覆う閉塞感なるネガティブ感を払拭してくれるものと信じているのだが、いかがだろうか?
個人的には第3章の「ノー」と言われたくない日本人の箇所が面白かった。営業と聞いて、えー、と遠ざかってしまう人は日本人の中には多いのではないだろうか?
僕は営業のスキルはすべての人に必要なスキル、と信じていて、仮にすべての日本人が営業スキル、自分を売り込むというスキルや相手に共感するというスキルを身につけることができるのならば、日本社会を覆う閉塞感なるものもなくなってしまうと思うんだけどなぁ。
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