What's up, Japan?, アメリカの行くへ - Written by B-KOOL on 火曜日, 12月 16, 2008 20:01 -

独創性を持って自立を目指す志、ニューヨーク・タイムズ

ニューヨーク・タイムズの新しい試み

そこで, NYTimes.com も 4 年ほど前から, RSS フィードで更新記事を配信するようにした。最初からカテゴリー分けして配信し始めた。

ユーザーは RSS リーダーを用いて,複数のニュースサイトの更新記事を横断的に閲覧できるようになったのだ。もう,新聞社サイトのトップページに必ずしも飛ぶ必要がなくなった。

いち早くRSS フィード配信を提供していたので,それからのポッドキャスティングやパーソナライズド・ページ・サービス ( “My Times” ), Twitter 対応, iPhone 対応,ウィジェット(現在は My Times 対応だけだが,年内に拡大サービスを予定)の提供も難なくこなしていけたのだろう。

また検索エンジンの進歩に合わせて,パーマリンク(永遠に変わらない url )の採用も大きな決断だった。新聞社のトップを走った。パーマリンクは検索エンジン最適化にとっても不可欠である。古い過去記事までもパーマリンク化したのが素晴らしい。最近完成したデジタルアーカイブでも, 1851 年からの記事すべてに固有の url を付与している。

先ほど NYT の検索エンジンで, 1851 年 -1855 年の期 間指定で “Japan” を検索して見ると, 555 本の記事が出てきた。その検査結果のトップ記事が “JAPAN OPENED.; Satisfactory Result of Commodore Perry’s Visit.” ( プレビュー : PDF の全文も無料閲覧できる)であった。ペリー提督が 1854 年に日米和親条約を調印したことに関する解説記事である。 Google の検索エンジンでもこの記事が検索できた。すばらしい!

各記事をパーマリンク化しておけば,SEO対策に効果的であることは当然である。さらに,ブログをはじめ,ソーシャルブックマークやソーシャルニュースサイトでも,パーマリンクのお陰でNYTの記事が飛躍的に引用されるようになってきた。

The New York Timesフロントページ―1896~1996このように RSS フィードやパーマリンクの採用が,検索エンジンやソーシャルメディア経由でのアクセスを増やすことになったのだ。つまり,以下の図のように,トップページのアクセスに加えて,各記事に向けてのアクセスが上乗せされいったのである。ニュースサイトへのインバウンド(外部からの)リンク数が, かつての Technorati の調査でも, NYTimes がダントツに多かった。

RSS フィード配信

フィードリーダーをどれだけの人が利用しているだろうか?

ついこの間、アメリカでもNHK特集「Digital Native 、次代を変える若者たち」を見たんだけど、そこのホームページにあなたの Digital Native 度はどれぐらいか? というものがあって僕が試みたところ、僕の Digital Native 度は75%であった。

その中の質問の一つに「定期的にチェックするブログが、5つ以上ある?」というのがあるんだけど、5つ以上どころが僕の場合現在100ある。これはフィードリーダーなるものを利用すれば簡単にできるんだけど、日本ではあんまり広まっていないみたいなんだよね、もったいない!

僕の場合、現在フィードリーダーを使ってブログなどの記事を追う率は、日本語と英語の割合でいうと、日本語65に対して英語が35。この比率を来年から日本語40、英語60までに変えていくつもりでいる。もちろんこの中にはRSSフィード配信をしている ニューヨーク・タイムズも含まれている。

アマゾンのテクノロジー・インフラに寄生しなければ生きていけないような世界を作ること

フィードリーダー、これは非常に便利である。記事ごとにアップデートされていくのでどの記事は読んだか、どの記事は読んでいないかなどすぐ把握できる。

次のエッセイではフィードリーダーの使い方やどのようにして情報武装していけばいいのか、いやするべきなのかについて書く予定でいるからもう少し待ってね。

過去記事のアーカイブと検索対応のパーマリンク

僕がニューヨーク・タイムズすごいなぁ、と感じたのは過去記事をアーカイブの形にしてアクセスできるようにしたことである。これによりある記事をソーシャルブックマークしても日本のニュースサイトのようにしばらくしたらリンク先の記事が消えてしまったということもない。

パーマリンクのお陰でブログなどで引用されるのが増えたというのも当然であろう、ブログの記事を読んでそこにある引用先のリンクへ飛んでも元記事が残っていると書く側の引用する際での信用を高める。

自社が持つデーターやサービスを開放できるか?

サービス提供者の立場でいけば、アマゾン・ウェブサービスのように、自社が持つデーターやサービスを開放し、不特定多数の人々がその周辺で自由に新しいサービスを構築できる構造を用意することが、 Web 2.0 の本質だ。孤島を作って閉鎖的空間を作るのではなく、島を開放的空間とするための仕掛けを用意するのである。

・・・・・(中略)

しかし、世の中がそういうサービスで溢れれば、データーがネットを介してありとあらゆる場所へ広がり、広がったデーターがさらに新しい価値を生み出すという連鎖が起こる。

・・・・・(中略)

開放によって全体が大きく発展してパイが大きくなるほうが、閉鎖してジリ貧に陥っていくよりもずっといい。(ウェブ進化論 – 本当の大変化はこれから始まる、その2

経営者がどれほどネットの環境のことを理解していて、即実行に移せるか? ということがキーポイントになっているような気がする。ニューヨーク・タイムズもネットの世界へそのウエイトを移し始めたといっていい。 Amazon.co.jp ジェフ・ベゾスは次のようなことを考えたのだ。

アマゾンの戦略

ペゾスはネット上のたくさんの小売業者(リアルの小売業者が持つネット販売事業も含む)が、アマゾンのテクノロジー・インフラに寄生しなければ生きていけないような世界を作ることを思い描いた。

・・・・・(中略)

具体的には、アマゾンは自らの生命線とも言うべき「アマゾンが取り扱っている厖大な商品データーのすべて」を、誰もが自由に使って小さなビジネスを起こせるよう、無償で公開することにしたのである。

アマゾン・ドット・コムもしかすると近い将来ニューヨーク・タイムズが API (Application Programming Interface )などを作り、多くの人々に利用できるような形で開放して、一気にあちらの世界での優位性を固める可能性はないとは言いがたい。いや、すでにそのようなことを模索しているのではないだろうか?

ニュースアグリゲーター?

New York Times ( NYT) は,ニュースサイトとして公式の www.nytimes.com とは別に, “Blogrunner” と称するニュースアグリゲーター を運用している。 www.nytimes.com がニュースサイトの表玄関とすれば, Blogrunner は目立たない裏玄関のような存在かもしれない。

Blogrunner の歴史を振り返っておこう。 2003 年に生まれ, 2 年ほど前に NYT に買収されたニュースアグリゲーターである。 Techmeme や Google News と似通ったタイプのニュースサイトで,外部のニュースサイトやブログを定期的に巡回し,集めたニュース記事をカテゴリー別に分類 し表示している。

NYT の傘下に入ったこともあって, 2 年前からは The Annotated New York Times と呼ばれるサービスも実験的に立ち上げている。 NYTimes.com の記事がブログなどでどのように取り上げられているかを知ることができるサイトだ。(“Blogrunner” が New York Times サイトの裏玄関に

日本とアメリカのブログの違い

日本とアメリカのブログの違いはどんなところであろうか?

ブログという舞台の上で知的成長の過程を公開することで、その人を取り巻く個と個の信頼関係が築かれていく

アメリカのブログが出始めたのが2002年ごろ、その背景にはある事件が起こったことがきっかけになっている。2001年に起こったアメリカ同時多発テロ事件である。

IT 技術などが発達してきたタイミングもあり、人々が既存メディアだけの情報に頼ることなく独自に自分たちの意見や感想などをもう少し、ある人は専門性を含めて、ある人は自分のネットワークを通じて集めた情報を発する必要性? があったことが大きな理由だと思う。

だから日本のような個人の日記形式のものはほとんどといっていいほどなく、発信している内容がもう少しジャーナリスティックなのだ。

英語圏では、分野限定的だがこの問題が表面化しつつある。

ネット上の玉石混交問題さえ解決されれば、在野のトップクラスが情報を公開し、レベルの高い参加者がネット上で語り合った結果まとまってくる情報のほうが、権威サイドが用意する専門家(大学教授、新聞記者、評論家など)によって届けられる情報よりも質が高い。そんな予感を多くの人たちがもち始めた。(ウェブ進化論 – 本当の大変化はこれから始まる、その1

ライブドアが広めた?

では日本でブログが広まった背景、どうしてアメリカのそれと違う方向性で発展しているのか? 一つには元ライブドアの社長、 堀江貴文氏が日本にブログを広めたという説がある。ライブドアがアメリカで広がっていたサービスを日本にも取り入れ、簡単に自分の日記をネット上で更新、発信することができますよ、と。

だから日本のブログは個人の日記形式のものが多く、内容がないといったら失礼になるけれど、特徴としては短文であることが多く、携帯電話からのアップロードが頻繁に行われていること、などがあげられよう。多くの人がそれなりにネットにコミットできる、しているというのはまぁ、それなりにいいことではあると思うんだけどね。

新しい個人のポートフォリオ、ブログ

「自分がお金に変換できない情報やアイデアは、溜め込むよりも無料放出することで(無形の)大きな利益を得られる」ということに尽きると思う。」そしてその「溜め込むより無料放出」についてはさらにこう詳述される。

「まず個人にとってのオープンソースとかブログとは何か。それはポートフォリオであり、面接であり、己の能力と生き様がそのままプレゼンテーションの装置として機能する。記事を書き続けることで人との繋がりも生まれていく。転職活動をする場合、相手が読み手ならば自己へのコンセンサスがある状態から交渉を始めるアドバンテージを得られる。それだけのものを、金も人脈も後ろ盾のない人間が手に入れる唯一の手段が、情報の開示なのだと思う。」

情報は囲い込むべきものという発想に凝り固まった人には受容しにくい考え方であろう。しかし、長くブログを書き続けるという経験を持つ人たちにとっては、実感を伴って共感できる内容に違いない。ブログという舞台の上で知的成長の過程を公開することで、その人を取り巻く個と個の信頼関係が築かれていくのである。(ウェブ進化論 – 本当の大変化はこれから始まる、その3

でもねぇ、もうすこし大人というか、働き盛りのビジネスマンだったり、知識のある年配層とか、社会的に地位のある人が発言してこないと、次のような現象が日本では起こりにくい。

ブログが社会現象として注目されるようになった理由は2つある。第1の理由は「量が質に転化した」ということだ。

ブログの面白さ・意義とは、世の中には途方もない数の「これまでは言葉を発してこなかった」面白い人たちがいて、その人たちがカジュアルに言葉を発する仕組みをついに持ったということである。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まるいろいろな職業に就いて、独自の情報ソースと解釈スキームを持って第 1 線で仕事をしている人々が「私もやってみよう」とカジュアルに情報を発信し始めれば、その内容は新鮮で面白いに違いない。ブログの総数が数万のときと数百万となった今とでは、質の高いブログのそろい方が全然違う。( ウェブ進化論 – 本当の大変化はこれから始まる、その3

守秘義務、匿名性などわからなくもないけれど、日本も近い将来は少しずつだが量が質に変化していくと思う、というのは楽観的すぎるだろうか?

業界が生き残るためにユーザーを意識する

この従来型トップページの右上に表示されている “Try Our EXTRA Home Page” をクリックすると,以下の Extra 版トップページに 切り替わる。 Extra 版ページも,従来型と同じ主要記事が掲載されている。この Extra 版ページが従来型と違うのは,各主要記事の下に外部リンク(赤の囲みの部分)が加わったことである。その主要記事の内容と関連性の高い外部記事への外部リンクが置かれているのである。同じニュースを扱っている外部の ニュース記事やブログ記事に,ワンクリックでアクセスできるのである。

この ページ は,ニュースアグリゲーター Blogrunner のページである。実は Blogrunner が,関連ニュース記事の収集やフィルタリングを行っている。この Blogrunner は NYT により 2 年前に買収されている。 Blogrunner については, こちら を参照してもらいたい。

NYT サイトのトップページから,競合する WSJ.com の記事などにダイレクトリンクが張られる時代になってきた。つまり,せっかく訪れてくれたお客さんを, 敵対するサイトに送り出してしまうこともあるのだ。いよいよ新聞社サイトも鎖国政策に終止符を打ち,本格的な開国に向かい始めた。供給者の思惑だけでユー ザーを囲い込んでいると,ユーザーが寄り付かなくなる。(NYT サイトの窓が大きく開かれた

英語圏へ本格的な移住

これすごいよねぇ、日本で既存のニュースサイトやメディアの中で、関連性のある記事としてそのブログにリンクを貼り付けているサイトってあるだろうか?

ここが肝心なところで、例えば関連するニュースに同じようなニュースを記事にして発信しているリンクのブログをたどってみると、単純な日記的な内容であった、となったらリンクをたどる信用が増幅されていかないと思うんだよ。

だからもう少し日記的に個人の身の回りに起こったことを書いてもいいけど、すこしは社会的関心ごとに目を向けて、それぞれの意見というか、最終的には群衆の叡智となるような知的なマスができるように仕向ける内容の記事が書けるようになれば、それらの情報を共有できる国民は幸せだと思うんだけどなぁ。

ちょっと前に日本語が滅びる、という内容の記事がネットで話題になったけど、個人的にはこれからも日本語で、自分のサイトで書き続けると思う。と同時に来年からは英語でブログを始めようと準備を進めている。英語圏で2本の自分の足を使ってしっかりと立つことに決めた。

ウィジェットを利用できる

予告通りに,ニューヨークタイムズのサイト( NYTimes.com )がウィジェットサービスを開始した。期待を裏切らない出来栄えだ。 NYTimes.com にアクセスしなくても, NYTimes の好みのトピック記事を,好みのオンラインページでチェックできる。

他の米国のウィジェットと同様,ブログだけではなくて, SNS ( Facebook や Myspace など),パーソナライズドページ( iGoogle や Netvibes など),個人ホームページなどに自由に貼り付けられる。(素晴らしい NYT のウィジェット,選り取り見取りにカスタマイズ

こんなかっこいいウィジェットならすぐに利用したい、ということで早速自分のサイトでも使ってみることにした。過去にいろいろな出来事をすっぱ抜いてきたニューヨーク・タイムズである。信用できるメディアのリンクというのは個人をエンパワーする上で強力な助っ人になる。

ニューヨーク・タイムズ物語―紙面にみる多様性とバランス感覚ともかく NYTimes.com はこの 2 年あまりの間に, MyTimes , TimesMachine , TimesTopics , TimesExtra , それに TimesWidgets などと,次々と新サービスを提供し続けてきた。その結果, NYTimes.com は紙媒体(新聞)を遥かに超える魅力ある ニュースメディアに育ってきた。

特に最近はブログの充実ぶりが驚くばかりである。ピュリツァー賞受賞記者でもブロガーに転身するくらいである。はっきり 言って,無料の NYTimes.com のほうが有料の NYT 紙より,優れているのではなかろうか。でも,オンラインシフトを加速化させたタイミングが,不運にも大不況と重なり,NYTにとって大きな誤算になってきた。

オンラインのほうが優れている?

ネットでニューヨーク・タイムズの記事を追うようになり、久しぶりに実際の紙の媒体を購入してみると、そこには深夜に読んだ同じ記事が載っているだけで新鮮味はまったくなかった。

広告がやっぱり大きく目を惹くなぁ、と思っただけで、紙の媒体よりもネットのほうが遥かに便利だと感じたのはいうまでもない。

アメリカも日本の紙媒体と同じように苦労しているようであるが、積極的にネット世界へと移行を試みているニューヨーク・タイムズ には応援してあげたいような気持ちもあり、なくなってもらっては困る、と思っている人も案外多いのではないだろうか、と感じるのだがいかがだろうか?

今アメリカで起こっている 世界金融危機 (2007 年 -) 始め、ビッグスリーの問題や来年からは本格的に実体経済が悪化するであろうことを予測すると、益々失業率は増えるであろうしそれに伴って犯罪も増えていくであろう。

自分がお金に変換できない情報やアイデアは、溜め込むよりも無料放出することで(無形の)大きな利益を得られる

しかし、僕は今回のアメリカ経済が低迷しているであろう時期にネットの世界がさらに充実してくると予想している。多くの時間を持て余すであろう人々は過去、経済の低迷期に自分のスキルアップのために MBA などを取得する時間を作り出していた。

今回の経済低迷期では人々はネットの世界にどっぷりと浸る可能性がある。それほどまでに英語圏のネット事情は充実してしまったし、これを機にイノベーションが加速する気分もあるのだ。

次にアメリカ経済が浮上してくるときにはネット世界から新しい何かが始まっているかもしれない。

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    大橋一弘(1968年11月3日生まれ) 19歳で渡米、あれから21年が経ちました! ノースカロライナ、ロサンジェルスを経て現在ニューヨーク在住13年。ネットの世界でエッセイスト、スポーツジャーナリスト、写真家、小説家、起業家のステイタスを確立するため日々奮闘中。 続き・・・

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