So What?, Soccer - サッカー - Written by B-KOOL on 水曜日, 4月 22, 2009 23:01 -
観客、金、資本家、選手が集まるプレミアリーグ
UEFAチャンピオンズリーグ
3年連続してUEFAチャンピオンズリーグ準決勝進出チームがイギリス、プレミアリーグから出てきたことは意外だろうか?
最初の年では驚きも感じたけれど、あぁやっぱりなぁ、という感想を持ったのだが、正直3年連続となるとこれはプレミアリーグ始め、各国で行われているサッカーリーグに何かしらの要因となるべく特出したポイントが、UEFAチャンピオンズリーグという舞台での勝ち進む率の結果として現れているのではないだろうか?
プレミアリーグからなぜ3つも、いや、決勝トーナメントということで言うならばプレミアリーグ枠4つの4つとも全部のチームが毎年、決勝トーナメントに進出しているということがどうして起こっているのか? かつてサッカー界でもっとも注目されたイタリア、セリエAはどうしてしまったのだろうか?
観客動員数
まず、プレミアリーグの試合を見ていて必ず目に付くのがその観客数の多さであろう。ほとんどの試合会場ではスタンドが地元のサポーターなどで埋まっており、特にトップクラスのマンチェスターU.、リヴァプール、アーセナル、チェルシーなどの試合ともなると、プレミア価格が付くほどではないだろうかと思われるぐらいの観客数である。
実際UEFAチャンピオンズリーグの試合ともなると、各4チームの試合チケットは高騰して中々取れなくなっているという現状があるらしい。どうしてこんなにも観客が試合会場に足を運んでくれるのだろうか?
まず言えることだけどほとんどのプレミアリーグのクラブチームのグラウンド状況がすばらしいということ。芝は真冬でも見事なグリーンで奇麗に整えられている性で、その場で行われるサッカーの質が高いものになる。
観客席からグラウンドまでの距離も他の国のサッカーリーグ会場に比べるとプレミアリーグの方が一番近いといえるのではないだろうか? ましてやグラウンドと観客席をさえぎるネットなるものも存在していないので、プレーする選手などの試合全体の臨場感をそのまま体験できるというのも大きな魅力となっている。観客席も奇麗に整頓されていて、女性客や家族連れなんかも気安く試合会場へ足を運べるような工夫を凝らしているのだろう。
これに近い会場の雰囲気を作り出しているのがスペインのリーガ・エスパニョーラやドイツ・ブンデスリーガである。女性客に家族連れが試合会場に足を運べるようにするのが観客動員数を上げるポイントかもしれない。
逆にこのポイントから一番遠いところにいるのがイタリアのセリエAで試合会場はほとんど男性客で占められる。トトカルチョ(サッカー賭博 イタリア語でtotoが賭博や籤、calcioがサッカーの意)といった賭博が絡んでいる性もあるだろうが、どうみても他の国の試合会場と比べるならば、ガラが悪い、という印象を持ってしまう。
グラウンドと観客席の間には当然のごとくネットが設けられ、そのネットの役割もグラウンド内へ観客が入らないようにするための施しだったり、選手や審判に向けてグラウンド内へ投げ込まれるものを遮断する役目も覆っている。
Jリーグなどを見る限りでは試合会場も多くのサポーターで埋まっているし、女性客や家族連れもたくさん目立つようである。
マナーの方はどうであろう?
Jリーグでの応援スタイルは大きな旗を掲げるあたり、南米のアルゼンチンリーグやイタリアのセリエAを連想させるが、一番観客席のマナーがいいと思われるプレミアリーグでは大きな旗を持って入場する観客は見られない。
代わりにほとんどのサポーターが手にしているのがチームの名前が刺繍してある、マフラーのようなものを大きく両手で持って広げているスタイルだ。
まぁ、サポーターの応援スタイルはそれぞれ各国の色だから、とやかく言っても仕方がないと思われるけど、実はプレミアリーグも以前は観客のマナーが悪いことで知られ、UEFAチャンピオンズリーグでは過去、リヴァプールとイタリアはユヴェントスとの試合でサポーター同士の争いの末、死者を出している。
イギリスサッカーの苦悩
1985年5月29日UEFAチャンピオンズカップ決勝戦、リヴァプール vs ユヴェントスの試合で事件は起こった。互いのサポーターが小競り合いをきっかけに暴徒化し、リヴァプールのサポーターがユヴェントス側の観客席になだれ込み、サポーター同士が衝突する事態に発展した。両チームのキャプテンが事態を鎮圧するべく必死に呼びかけたが、耳を貸すファンはいなかった。
そしてユヴェントスのサポーターがリヴァプール側の襲撃から逃れるために壁によじ登り、重量に耐え切れなくなった壁は崩壊した。これに伴い多くの人々が下敷きとなり、結果として死者39名、負傷者400名以上を出す大惨事になってしまった。死傷者の大多数がイタリア人だった。
多数の死傷者を出した原因として一番に挙げられるものは、競技場の老朽化である。試合が中止になれば、暴徒化したサポーター達が再び街中で暴れ出しかねないと判断した主催者側が、試合開始を大幅に遅らせて試合を決行させた。
試合は、PKをミシェル・プラティニが決めてユヴェントスが1-0で勝ったが、チャンピオンズカップを渡されたのは人目に付かない更衣室だった。当然のことながらチャンピオンズカップ獲得をユヴェントスの選手たちが素直に喜べるはずがなかった。試合後、プラティニは「もう、サッカーをしたくない」と言った。
この事件後、イングランドのクラブは無期限(後に5年間、当事者のリヴァプールは7年間に変更される)国際大会への出場を禁じられた。このことが、後のイングランド代表の低迷の一因となった。また、主催者となったベルギーサッカー協会に対しても、「カップ戦の決勝戦の開催地となる権利の剥奪」という処分が下された。(ウィキペディア参照 – ヘイゼルの悲劇)
まず当然のことながらファンが離れていく。会場へは危険だからという理由で足も運ばない。国際トーナメントには出場できないということで選手もサポーターも志気を失う。当然クラブの財政も悪くなり、いい選手は放出、プレミアリーグにも寄り付かなくなる。結果国際試合という試練の場でイギリス選手が鍛えられる機会が減ることになり、1994 FIFAワールドカップには予選敗退ということで出場できなかった。
聞いた話なんだけど、その当時のプレミアリーグ試合会場の雰囲気といったら、汚い、臭い、というイメージを持って語られていたという。観客はほとんど酔っ払いで埋まり、ビールなどを客席にこぼすなどしてアルコールの匂いが充満する。
さらに悪いことにビールを飲んでトイレに近くなった観客はトイレには行かず、その場で要を足してしまうというマナーの悪さ。雑誌をくるくると丸め、その中に自分のおち○ち○を差込、下へ向けて放尿。
ひどい場合だと、自分のコートの間からその雑誌の先っぽを出して、目の前に立っている人の背中に向けて放尿する輩までいたというから、女性はおろか家族連れが子どもを連れて出かけられようはずもない。会場はアルコールと小便の匂いが充満している場所と化すのである。
このような環境を改善することによって、プレミアリーグは観客を呼び戻すことになり、多くのサポーターが会場へ足を運ぶ、イコール、会場へお金が落ちる、クラブの財政が改善される、という状況を作り出し、その利益をもって選手管理やすばらしい選手獲得のための軍資金となり、いい選手が集まれば、その選手を見に行こうということでまた観客が足を運ぶ、という好循環を生み出す仕組みが出来上がった。
資本家
こうしてサッカーチームとしてお金がちゃんと回りだす仕組みができればそれがビジネスモデルとしても確立されて、更にお金を呼び込むための次のステップを踏めるきっかけになる。それは資本家などにビジネスモデルとして投資してもらう企画書として提案できるようになることだ。
大きくそれが報道されるようになったきっかけはプレミアリーグの一つ、チェルシーを買収したロシアの投資家、ロマン・アブラモヴィッチ氏の存在である。それまでのチェルシーといえば中の上、弱くはないけれど上位には食い込めないチームとして存在していた。
それがアブラモヴィッチ氏の買収劇の後、監督にいけいけムードだったジョゼ・モウリーニョ氏を添えて、数々の優秀な選手を買い集め、チームとして強力な体制を築いていった。これをきっかけにチェルシーは安定してプレミアリーグ毎年4位以内をキープ、UEFAチャンピオンズリーグ上位陣に残るチームとしてさらに目立つ存在となっていったのである。
他にもプレミアリーグでは観客さえ集まればそれがビジネスシステムとなり、多くの投資家を惹き付ける要因になった。
マンチェスターU、リヴァプール、アーセナル、はUEFAチャンピオンズリーグの常連となり、他にもマンチェスター・シティがタイの元首相タクシン・チナワット氏がオーナーになったりして話題になり、ロビーニョを移籍させて目立つ存在となった。
そのほかのクラブにも多くの国から移籍してくる選手はプレミアリーグが一番多いかもしれない。それだけお金が回っている証拠であり、ビジネスモデルとして投資家の興味を引く対象になっているものと思われる。
いい選手を集められればそれが選手層の厚さにつながり、チームも一層安定したものになってくる。各国のリーグ戦のほかにUEFAチャンピオンズリーグを戦うとなるとそれらに参加している選手は疲労も蓄積、下手をすると怪我をしてしまう。
そのほかにもこれらのチームへ移籍してくる優秀な選手は各国の代表レベルの選手だから当然、FIFAワールドカップ予選やUEFA欧州選手権、アフリカネイションズカップ、AFCアジアカップ、コパ・アメリカなどにも召集され、より過酷な環境下でのプレーを余儀なくされる。
財政的に力のあるチームはそのリスクを減らすためにチーム内にもう一つ一軍を作れるように選手層を厚くして対応。主力選手が抜けてもチームとしての戦力が極端に落ちないレベルを保っている。これを安定的にできているのがプレミアリーグでは多くのチーム、ということになり、3年連続してUEFAチャンピオンズリーグ準決勝に3チームもプレミアリーグから残った、というのは全く不思議ではない出来事なんだと思う。
これに比べて他の国のリーグが劣るかというとそうでもないのだが、あるとすれば監督始めコーチやスタッフなどのバックアップ体制がしっかりしているか、ということも重要になってくる。
というのも資金的にいったら、スペインリーグのバルセロナ、レアル・マドリード、バレンシア、ビジャレアルなども強いチームだし、それなりにいい選手をそろえている。ドイツでもバイエルン・ミュンヘンも各国からすばらしい選手を取り入れているし、イタリアセリエAでも、ACミラン、ユヴェントス、インテル、ローマなどでも優秀な選手は豊富であるはずだ。
チームとしての完成度
ここで違いがあと出てくるとすれば、それは如何にチームがまとまっているか、ということに尽きる気がする。
今回のUEFAチャンピオンズリーグ準決勝4チームを見てみるとほとんどプレーする選手が毎年変わっていない。マンチェスターU、チェルシー、アーセナル、バルセロナ、とどのチームも顔なじみが同じであり、そのことのプラス要因といえばチーム間のまとまり具合、選手同士のコミュニケーションから戦術面に至るまでの方向性が一致している点が大きな要因となって結果に現れていると思われる。
マンチェスターUのサー・アレックス・ファーガソン氏にアーセナルのアーセン・ベンゲル氏、チェルシーはモウリーニョ氏が抜けた後、ルイス・フェリペ・スコラーリ氏が就任したけれど上手くまとめられず、今はフース・ヒディンク氏を迎え落ち着いた。バルセロナもフランク・ライカールト氏がやめて、ロナウジーニョが抜けてもまとまりは崩れていない。
逆に言えば、リヴァプールも(新しい選手入れすぎ)、レアル・マドリード(オランダ移籍チームの不振)も、バイエルン・ミュンヘン(中盤ブラジル、トップにフランスとイタリアでサッカーバラバラ?)も、ACミラン(ジェンナーロ・ガットゥーゾという肉食獣からデビッド・ベッカムという草食獣の加入によりチームが大人しくなった?)も、ユヴェントス(八百長問題でセリエBに落ちたことが大きい)も、インテル(モリーニョイズムがまだ浸透していない)も、ASローマ(王様フランチェスコ・トッティが支配者?)もチームの完成度でいったらもうちょっとのところでもたついているというのが原因で、UEFAチャンピオンズリーグとの戦いで敗れてしまっていることが結果として現れている。
いい選手の寄せ集めだけならば、ある程度の強いチームはできるけれど、UEFAチャンピオンズリーグは特別な環境なのだ。ここでは選手も監督もサポーターも鍛えられる。技術だけではダメで全員が本当に勝ちたい、という気持ちを共有できないと勝ち進めないし、勝利者になることもできないところなのである。
ポルトは成熟している
今回のUEFAチャンピオンズリーグ準々決勝までで一番いいサッカーをしていたのがポルトガルのFCポルトというチームである。過去、モウリーニョ氏も監督をしていてそのときにはデコを中心選手として見事UEFAチャンピオンズリーグで優勝している。
そんなにクラブの財政面でいったら大きなビッグクラブというほどではないにしろ、毎回強いチームを送り込んできて、一番見てみたいチームのサッカーということでそのチームへの興味は失われていない。財政的にそれほど豊かでないにしても、移籍金の安い南米からの選手を集めてきてチームを作っている。
今回もかつて川崎フロンターレでプレーしていたフッキが新たに加わっていて攻撃に厚みが増し、相変わらずトップのリサンドロ・ロペスとゲームを作る ルイス・ゴンサレス(ルチョ)の存在が際立っていた。
今回ももしUEFAチャンピオンズリーグ準々決勝第2節でFCポルトホームでの試合、ルチョが前半途中で負傷退場していなかったらマンチェスターUに勝っていたかもしれない、と思っているファンはきっと大いに違いない。
巨大なサッカー市場
このようにイギリスのプレミアリーグではうまい具合に人、資金が集まってくるシステムが確立されて安定している市場が形成されつつある。選手も欧州枠内ならばどこへでも簡単に移籍できるシステムの登場により、より強いチームへ移籍する道筋が開けた。貪欲であればどこまでも自分を鍛えることができる環境が目の前に用意されている。
好循環が一旦達成できれば、それがさらに大きくなっていく。選手がよりすばらしい環境へ移籍して、サッカーに対する人々の注目度もさらに目立つようになり、人々の関心が高まる。さらに資金が流入、大きなビジネスモデルとなり、投資家を惹き付ける。
各国リーグがそれぞれで潤い、各国の代表レベルで戦いが行われる4年に一度開催のUEFA欧州選手権はいまや巨額がうごめく大きなビジネスへと変貌している。
2000 ベルギー/オランダの共同開催、2004 ポルトガル、 2008 オーストリア/スイスとまるで欧州通貨統合、欧州マーケットの存在感や成熟度などと比例するようにして欧州のサッカー市場は巨大になりつつある。
そして2012 ウクライナ/ポーランドの共同開催。まさに欧州ブロックへの参加、存在価値を高めたい両国の巨大なチャンスとして扱われ、オリンピックを開催するよりも、FIFAワールドカップを開催するよりも、UEFA欧州選手権を開催できることが欧州市場でどこの国よりも一歩早く経済面で自立できる道を歩めるきっかけとなろうとしている。
ウクライナもポーランドも一気に成熟、さらにインフラが整うかもしれない?!
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Tags: UEFAチャンピオンズリーグ, プレミアリーグ
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