So What?, Soccer - サッカー - Written by B-KOOL on 木曜日, 9月 17, 2009 15:22 -
フィジカルではない、ボールコントロールがすべて
親善試合
日本はオランダと戦い3-0で破れ、続くガーナとの一戦では4-3と逆転勝ちの勝利を収めている。
オランダ戦の後、ネット上でも数々の批判的なコメントを見ることができ、特に本田選手を巡る論戦には海外と日本の視点の違いが浮き彫りになった形となり、興味深かった。
選手やコーチ、監督はじめ関係者などは、世界の強豪とアウェイで戦うことのメリットは計り知れないものであることも確認できたであろう。
●できたこと、手応えが感じられたこと
・アタッキングサードまでのビルドアップ
・効果的なプレッシング
・攻撃時に数的優位を作ってゴールを決めること
・メンタル面の強化と経験値のアップ●できなかったこと、改善すべきこと
・早い時間帯でのゴール
・1対1に頼らない連動した守備
・最後まで持続しないプレッシング
・バックアッパーの確保(特にセンターバック)
メディアが騒いでいるわりには選手たちは冷静だったのだろう、しっかりオランダ戦後の修正をガーナ戦で試せている。4得点という結果は試合に臨む際に変化したであろう勝ちに行く姿勢を掴んだことと思われる。
プレッシングサッカーの限界
そして誰にとっても明らかなのが、プレッシングサッカーによる体力の限界。岡田監督は「前半の激しい運動量のサッカーが持たないのは分かっているが持たさないことには世界にかなわない」と言う。ならばもっと中盤でコントロールする時間帯を意識して作るべきではないか。日本には遠藤という気の利いたMFがいる。遠藤はどう考えるか。
「基本的には高い位置からというのがチームの約束事で大前提。状況に応じて下がる部分はあるんで、そこの意思統一はもっとやっていかないと。でもやはり前からという“軸”はぶらさずにやっていきたいと思います」
どうもねぇ、ここまでの結論に達するまでの視点の位置が間違っているような気がしてならないんだよなぁ。どうして日本は基本的に高い位置からプレスをかけて、チーム全体が連動した形でのボールの取り方を決めてしまったのだろうか?
足の速い選手、フィジカルに強い選手が中盤やFWにいなかったからだろうか? まぁ、今の代表選手選考の顔ぶれを考えればなるほど、と納得のいくものかもしれないが、だからといってこの戦い方が日本の伝統的なゲーム運びにはならないほうがいいと思う。
ボールを追い掛け回して奪い、速い攻守の切り替えを行い一気にフィニッシュまで持っていく、というのはどうもサッカー全体に怯えているような印象を持ってしまう。
この深層心理はどういうものだろうか? やっぱり中盤でボールを奪われるのが恐い、相手にディフェンスへ戻るまでの時間を与えると攻めることができない、1対1の勝負に出てその場の状況を有利に展開できるように変えてしまう個の強さがない、といったところだろうか?
だがこれらの守りに寄りかかるような深層心理はたった一つのポイントが改善されれば日本はリラックスして充分に自陣でも相手陣内懐深く入ったところでも洗練されたサッカーをできるようになる。
“もっと中盤でコントロールする時間帯を意識して作るべきではないか。”、この答えは日本人と同じような体格の選手たちが多く存在するスペイン代表の選手を比較研究すれば自ずと見えてくるはずだ!
FWのダビド・ビジャはじめ、中盤のシャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタ、ダビド・シルバ、セスク・ファブレガス、といった選手は日本人とほとんど背丈は変わらない、というかどちらかというと背の小さい選手だろう。
ディフェンス陣だってそうである、日本人より体格のよさそうな選手はほとんどいない、というか同じような体格である。なのになぜスペインは世界のトップクラスをサッカーを展開できているのだろうか? フィジカルが強いからだろうか? 高い位置から連動する形でプレッシングを続けているからだろうか?
フィジカルではなくボールコントロール技術の違い
僕の確信なんだけど、絶対にボールコントロール技術の差だと思う。ここでいうボールコントロール技術とはイビチャ・オシム氏が言っていた動きながらのボールコントロールのことを指す。
リフティングのような止まっている状態でのボールコントロール技術ではない。トップスピードで常に相手との駆け引きの中、相手選手からのプレッシャーを感じる状況の中でのボールコントロール技術である。
サッカーが美しい、スペイン代表
日本がオランダやガーナと親善試合をしているとき、その他各大陸では2010 FIFAワールドカップ出場枠に向けての戦いが行われていた。
幸運にもスペイン対ベルギー、ブラジル対アルゼンチンの試合をテレビで観戦、改めて世界のサッカーのレベルを知ることができた。
スペインはベルギーに5-0と圧勝、サッカーが本当に洗練されていた。速く正確で強く足をボールに当てるパス、その速くて正確なパスをピタリとコントロールするトラップの技術、ドリブルにシュートといいサッカーの質の違いが否が応でも目に付いてしまうのだ。
勘違いしてほしくないのだが、それらのボールコントロールは相手を背負ってという状況、相手のプレッシャーを感じての状況下で常に正確にコントロールされている。
速くて正確で強いパスも相手のプレッシャーを抱えながら。トラップもトップスピードで走りながらという状況だったり、相手のディフェンスを背負いながらだったりという状況の中、ピタリと足元に吸い付くようにコントロールされる。
ドリブルにしてもそうである、相手のディフェンスを受けながらボールを取られないようにドリブルしていく、そしてパスを出したり、シュートを打ったりする、という余りにも単純な指摘なためにボールコントロールの技術差が目に入らないのかもしれない!
“もっと中盤でコントロールする時間帯を意識して作るべきではないか。”ということも一人一人の選手のところでボールが落ち着くから、こうした状況をスペイン代表は普通に展開できているのだと思う。
リラックスが余裕を生み、余裕が正確に判断する状況や一瞬のイマジネーションを発生させやすくする、精神的に余裕があるから、そしてその余裕はフィジカル的にも現れ一瞬一瞬のプレーにも瞬間的に集中できるのだ。
このような展開ができれば選手全員で高い位置からのプレッシングということからも開放されよう。ボールをコントロールする状況が長くなれば、逆に相手チームにプレッシャーを与えることになる。
フィジカルに弱いという指摘もボールコントロールが甘いために、ちょっとした隙を相手に与えてしまうから結果、相手選手に詰め寄られて下手なボール争いを起こしてしまう。その前の時点でボールをコントロールしていれば、相手も簡単には詰めてこれなくなるだろうし、ドリブルで突破するときなんかも相手ディフェンスはファウルで止める必要性に迫られるのだ。
闘う集団、アルゼンチン代表
試合の結果から言うとブラジルが3-1でアルゼンチンを降し、ディエゴ・マラドーナ監督は批判に曝されているが内容的に見た場合、それほどアルゼンチンは悪いサッカーをしていたと思わない。
ボールの支配率でいったら65%対35%といった感じで、ほとんどアルゼンチンが攻めている状況だったし、厳しい競り合いでもブラジルはアルゼンチンからボールを奪うのに苦労していたようだ。
ブラジルの2得点はセットプレーからだし、後の1点は速攻からカカがさすがと思わせるスルーパスを決めてしまったからだ。補う部分があるとすれば中盤、フアン・セバスティアン・ベロン以外にもう一人ボールの出しどころの選手がアルゼンチンはほしいところ。フアン・ロマン・リケルメはダメなんだろうか? ルチョこと、ルイス・ゴンサレスは?
このアルゼンチンの選手たちもスペイン同様、それほど背丈の高い、体格のいい選手はいない。FWのリオネル・メッシにカルロス・テベスは小柄だし、中盤にも小粒ぞろい、ボランチのハビエル・マスチェラーノも小柄だし、ディフェンスのガブリエル・エインセだって大きいほうではない。
しかし、試合を観ていてアルゼンチン代表が羨ましかった。ボールを廻せる技術はもちろん言うことないんだけどそれよりも精神的な部分、選手全員が戦っている気迫が伝わってくるのだ。
アルゼンチンに比べブラジルは比較的体格の大きな選手が揃っている中、左右から挟まれようが足をスライディングで襲われようがドリブル突破、ボール際での身体の寄せ合い、といった状況下で負けていない。
闘う集団、まさにそれを見た感じがした。2点先取されようが諦めない、少しもぶれないその闘う姿勢に、あぁこれがあの中田英寿が言っていた闘う集団なのだなぁ、と感じこのようにタフさが精神的に備わるにはやはり海外に出て普段の生活から闘っていないと養えないだろうなぁ、と改めて思ったのだ。
日本人が何故ゴール前で慌ててしまうのか、なぜ海外で、アウェイでする試合になると選手全体が浮き足立った感じでプレーしてしまうのか?
Jリーグでプレーしている選手と、海外へ飛び出していった選手がいつの間にか身につけてしまう要素が国際試合という大舞台で大きな差となって現れてしまうのだ。この辺のことについて次のエッセイでは書いてみたいと思う。
そういえばアルゼンチンは一番海外への移籍組みを多く排出しているサッカー王国でもある。
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Tags: サッカー, サッカー日本代表
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