NHKスペシャル「ワーキングプア3」を見て、その2


ワーキングプア

NHKスペシャル「ワーキングプア3」を見て、その2

分にスキルや人材価値がないからワーキングプアになっているんであって、自業自得だよ、あの人たちは、と言った声をよく聞くし以前の僕もやっぱり知的に怠惰な人はこれから苦労するだろうなぁ、といった感情を持っていた。

しかし、アメリカの現状がそうであるように、そしてこれからの日本の社会がそうなることが予想される現在、ホワイトカラーの職場も今後は安泰ではないと思って、いつ、自分もワーキングプアの状況に陥るかわからないという心の準備とそれに対応するための選択肢をある程度準備しておく時代なんだと思うようになった。

ホワイトカラーだから安泰という希望も、その職種がコモディティー化されるような職種、つまり、インドやそのほかの地域から押し寄せる大量の賃金的にも安く、優秀な知識付加価値労働者の存在によって脅かされるときが必ず来る。

日本語だから大丈夫といってはいられないほど、彼らの勤労意欲は今や日本人以上といってもいい。そこには貧しい社会の底辺から上に上がってやるぞ、というかつての日本にもあったような強烈なモチベーションが人々の行動を駆り立て、実際豊かになっている人々の存在も感じられるのでリアリティーがあり、こうなりたいという希望が夢想の状態ではないのだろう。

社会的有用労働

組の最後のほうで経済評論家の内橋克人氏が登場し、語っている。曰く、日本も他の国々が取り組んでいるワーキングプアの対策として、福祉などの分野で社会的企業を育成し、自立を目指す人たちの新たな働く場を作るべきだと。その社会的企業の一番の大きな意味とは社会的有用労働ということ。

例えば介護や医療の現場では現在人手が足りないし、社会問題にもなっている。失業率が問題になっている中、肝心の必要なところに人がいないという。そういった分野を発見してほしい、と。しかもそれが、食える「社会」、食える「仕事」であること。

役立っていることが実感でき、生きがいと働きがいを感じることができるような仕事。こういったことはその社会が用意していかなければいけない。わずかな人の善意や犠牲だけでは解決できない問題であり、地域と民間企業が連携し、新たな産業と人材を育てていくことが必要なんだと、内橋克人氏は語る。

そして職なき人にはさらなる新しい技術に向けての挑戦できる教育を社会として与えていくも大事だと。地域と企業が連帯して産業の集積をつくり、雇用の現場を創造していく。これがワーキングプアを解決していくという国の改革への姿勢であり、国民が求めているものであると、おっしゃっていた。

書いていてねぇ、これだったら人々は希望をもてるんじゃないかなぁ、と実感できたよ。甘えたくても甘えられない、そこまで落ち込んでしまった人には社会が助けを準備してあげるべきだし、多くの人も決してその人個人の資質の問題ではなく、自分たちが住んでいる社会の問題だ、というように新しい認識を持って取り組んでいくことが重要だと思う。

ノブレス・オブリージュ

ーキングプアにワーキングプア予備軍を放っておくと社会は必ずそのつけを支払う羽目になるからね。だから欧米では昔から豊かな層の人々は積極的にノブレス・オブリージュ(Noblesse Oblige) を実行してきたんだとおもう。アメリカのお金持ちが、稼いだ金の10%はチャリティーや教会、または地域ボランティアに寄付する習慣があるのと同じだよね。

こういうことをしていかないと、やっぱり社会が荒れるんだと思うよ。最後に村上龍 -RVR で財政と雇用をテーマにした動画があがっていたから紹介しておく!

  • 「なぜ3年目で会社を辞めるのか」転職のエキスパート・山崎氏とカリスマキャリアカウンセラー・小島氏が語る雇用の現在
  • 「消費税を上げるべきか」雇用政策にも必要な財政の裏づけ。若き国家財政の専門家、土居氏が語る「赤字」の現実
  • 「税金を払えない人たち」増税やむなしとの声が強まる中、最低賃金レベルで働く人たちが急増している

消費税を上げるべきか

こでの小島貴子氏(立教大学)の話は説得力があると思う。つまり、消費税を上げても、財政は増えないのではないかということ。消費税が上がることによってさらに生活が苦しくなり、消費したくてもものが買えない層がマジョリティーになり、逆に富裕層はモノ余りの現在、あんまり日本ではものを買わなくなり、結局出すべきお金の出る場所が、出てほしいところにはでないで、という悪循環が起こるだろうという問題。

ちょっと話がずれるけど、富裕層以外に貧困層の人々が日本よりも生活物価の安い海外へ逃亡してしまうかもしれない、という記事を目にした。

外こもり?

定義的には「短期バイトなどで稼いだお金を元手に、一年の大半を物価の安い外国で暮らす人々」ということになり、近年、若者を中心に増加しているという。彼らの生態を描いた『日本を降りる若者たち』の著者である下川裕治氏に話を聞いてみた。

「特に多いのがタイのバンコクです。彼らの多くは1泊300円~1000円程度の安宿に滞在し、そこで『ひきこもり』のような生活をしています。そのため数が把握しづらいのですが…日本人だけでおよそ1万人はいると見られています」

端的に言えば、日本の社会に生きづらさを感じた人たちです。労働環境に適応できなかったり、人間関係に疲れたり、イヤになって日本を飛び出します。タイ は気候も暖かく、人もアバウト過ぎるくらいおおらか。たとえ働かずにブラブラしていても、誰からも変な目で見られません。この居心地のよさに心が癒され、 そのまま居ついてしまうパターンが多いようです」

「確かに充電的な意味ではアリだと思います。でも、この生活を続けていくにはいろいろと問題も多い。生活資金は日本でのバイト収入なので、仕事がいくらで もある若いうちはいいけれど、年を取ると途端に厳しくなる。タイも年々物価が上昇していますし、将来の不安はぬぐえないでしょう。

さらに大きな視点で見る と、低所得のため日本の税収は減るし、タイにとってもお金を落とさない外国人ということで、どちらの国にもメリットがないんです」( 最近増えているらしいです…「外こもり」って一体何だ ?  )

なみに「 外こもり」の多い都市はタイのバンコクのほかに、カンボジアのプノペン、ラオスのビエンチャン、トルコのイスタンブール、エジプトのカイロということらしい。特にエジプトのカイロは欧州の外こもりに人気の都市だそうです。

後小島貴子氏(立教大学)の話で意外だったのが、識字率のない日本人が増えていること。これによって就職スキルのない識字率の低い層の人たちは、早期結婚ということになり、それが親子3世代にもわたっていていつまでたっても貧困層から抜け出せずに入るらしい。教育には福祉という概念が必要、ということはよくわかったが、実際にそのような仕組みが利用できるようになってもどれぐらいの人々が自発的にそれらを利用するのであろうか?

天は自ら助くる者を助く

自助の精神がないと、いくら国がセイフティーネットを準備してあげても、根本的な日本人の欠点、「甘える」ということを律していかないと、自発的になるように仕向けてくれ、なんていいだしかねない。

安定志向への弊害

学生のなりたい職業ナンバー1は公務員という現状。なんで公務員になりたいかと質問すると全員が公務員は安定しているからということらしい。安定のほかに何? と聞くと楽だから。そんで公務員の仕事はどんなことをするのかというとわからない、知らないである。

それを誰から聞いたのか? ここが一番の問題だと思うのだが、お母さん、ということらしい。世のお母さんたちというのはどうなのかなぁ? 基本的に女性は群れるものだし、子孫、自分の子供の成長には安定という要素は重要なんだけど、日本人のお母さんたちほど他人の評価他人の目、世間の評判、というものに影響されやすい人種はいないんじゃないかなと感じることがある。

やっぱり自分の中に揺るがない根本的な芯みたいなものがそのお母さんにあるといいんだけど、それがないひとはどうしても社会的な目というか評判がそのお母さんの価値観になりやすい。良い学校にいって、良い大学にいって、良い会社に就職しなさい。それが今度は公務員かぁ。公務員は民間の会社と違って潰れないだろうしねぇという神話はこれからも続くのだろうか?

きっとテクノロジーの進歩によってどんどんデジタル化されて、人が省かれるだろうし、財政が厳しくなれば人件費も削ることになり、極端な話、中国の大連やインドの日本語ができる人を多く集めているアウトソーシングを請け負う会社に流れてしまうかもしれない。

だから公務員も安定じゃないんだけど、他に選択肢を示してあげることができないから子供がかわいそうだよね。やっぱり広い視野にたくさんの選択肢、多くの違った価値観が存在することを教えて実際に子供たちが感じるように信じさせて上げないと、公務員になっても将来への不安はなくならないと思うんだけど、いかがでしょうか?

雇用環境は流動的になれ!

職する上でのワンチャンス社会はなくしていかないと。このプレッシャーはきっとすごいんだろうな。スポーツの世界では移籍なんかが結構紹介されたりしているから、ビジネスの分野でもそのように転職などが普通に行われる社会になって人が流動しないと、新しい価値観は定着しないだろうし、逆に個人も強くならないと転職社会になろうが、負けてしまうだろう。

でもそこで負けても自分が強くならなければ、というきっかけを与えてくれるならば、そしてそういう人たちに希望を与えてくれる社会ならば、負けることを恐れなくなってチャレンジしていく社会になると思うんだけど、道のりは長―――いね。

2004年と2050年の世界のGDPを比較したグラフであるが、2004年にはアメリカとともに目立っていた日本は、2050年にはアメリカと中国とインドに目立つ文字が変わっています。( 日本とその GDP について )日本はどこへ行っちゃったんだろう、って探さないほど日本のGDPは小さくなっています。

誇りの損失の先にあるのは絶望

この活動を始めて 2006 年だけで 366 人のホームレスだった人が職を見つけてこの団体を卒業していったという。トータルでみると 2643 人という驚異的な数字である(ニューヨーク市内のことなのでこれはかなり素晴らしい業績なのである)。

しかし、彼は現実として、「でもね、一度覚えた怠惰な生活から更正できるのは 60% ぐらいなんだよ」という事実も教えてくれた。そこで、私は「中国のお話で、馬を水のみ場まで連れて行くことはできるけれども実際に水を飲ませることはできないというのがありますが、まさにそれですね。」

彼は、「人間としての誇りを絶やさないようにと少しでも思っていた人は絶対に逃げませんが、それすら失ってしまうと労働するより施しに頼った方が楽と言って出て行ってしまうんですよ。誇りは希望を生み出しますが、誇りの損失の先にあるのは絶望です」と溜息をついた。

そして「人間らしく生きることはなかなかしんどいですからね、私たちもそうでしょう、朝決まった時間に起きたり、嫌な上司に怒鳴られたり、税金を払ったりストレスも溜まりますよ。でも、それでも人間らしく生き続けているのはなぜでしょうか。」

私は、「自分に対するプライドとより良い未来への希望ですね、やっぱり」。

彼は大きくうなずいて、「そのプライドは自分を愛することから培われます。チャンスを与えられながら結局元に戻ってしまう人たちは自分すらもう愛してはいません。そして他人からの愛も受け入れることはしません。彼らが先に見るものは死なんですよ。悲しいことですが。」

ホームレスに舞い戻る人々の中にはもはや同情に値する余地もないほどの単に怠惰な人間ももちろんいるから、彼らが全員絶望のふちを彷徨う人々だとは決して言えない。

ただ、希望を失って先に新たな希望を見出せなくなってしまった人々がいて…という事実が悲哀を誘う。しかし、現実に生きる私にはとにかくこの 60% の希望を見出した人たちにとって最善のことをしていくことだけしかできないし、それで納得していくしか方法はない。生きていくということはそういうことなのだろうから。(第 132 回 : ニューヨークのホームレス :2007/3/27 )

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