インド経済成長ストラテジー、その1(ムンバイ証券取引所)


インド経済成長ストラテジー、その1(ムンバイ証券取引所)

インド証券取引所。先日、 CNN を見ていたら思わぬニュースが飛び込んできた。ニューヨーク証券取引所などがインドの証取へ出資するらしい。インド証券取引所( National Stock Exchange of India Ltd ) これを見て“あぁやっぱりなぁ”とすぐさま思った。

【ニューデリー=小谷洋司】インドのナショナル証券取引所(NSE)は 10 日、ニューヨーク証券取引所と米ゼネラル・アトランティック、ソフトバンク・アジア・インフラストラクチャー・ファンドの投資ファンド 2 社、米金融大手ゴールドマン・サックスの計 4 外資が同証取に 5 %ずつ出資したと発表した。有力外資を株主に迎え、市場競争力を高める狙い。

NSEはムンバイ証券取引所(BSE)に次ぐインド 2 大証取の一つ。約 1000 社が上場しており、時価総額は約 34 兆ルピー(約 90 兆円)。 4 外資は印国内金融機関 5 社からNSE株を取得した。取得金額はそれぞれ 1 億 1500 万ドル。

どうしてインドなのだろう?

インドはまだ発展途上国であるし、経済が成長しているといっても国内インフラも不十分でどこをとってもニューヨーク証券取引所が出資する理由は見当たらないのが普通だろう。しかしすでに GE ( ゼネラル・エレクトリック)がインドに原子力発電所を設立・運営するつもりで進出しており、大きな都市ではインフラが先進国並みのレベルになりつつある。

知的能力が発展した発展途上国、インド

GE のジャック・ウェルチ会長が1989年にやってきて、インドが GE に恩恵をもたらす知的宝庫だと知り肝をつぶしたものです。ジャックはこういう言い方をしましたよ。「インドは知的能力が発展した発展途上国だ」

その通り、インドには世界中から投資資金を集める魅力がある。それはずばり、インド人の素質だと思う。先進国のニューヨーク証券取引所のような大御所に出資の動機を起こさせるような潜在的な可能性を秘めたインドで何が起こっているのだろう? インド人はどれほどすごいのか?  トーマス・フリードマン著の「 フラット化する世界」から覗いてみよう。

分析業務の一部をアウトソーシング

最近までウォール街の大手会社は有名アナリストたちに何百万ドルも支払って投資リサーチを行い支払った額の一部を、優良得意先に分析情報を伝える証券営業部門や投資を呼び寄せるための大げさな企業分析を活用することもある投資銀行部門に請求するというやり方をしてきた。

ニューヨーク州のエリオット・スピッツァー司法長官が、ウォール街の業務に調査のメスを入れさらに数度のスキャンダルが起きてからはアナリストが投資を誘うために企業の業績を誇大に宣伝するのを防止するために投資銀行業務と証券業務を厳密に分けなければならなくなった。

しかしその結果ウォール街の大手投資会社は、市場リサーチのコストの大幅削減を迫られた。しかもそのコストはすべて証券部門が支払わなければならない。それはバンガロールのような場所へ分析業務の一部をアウトソーシングする誘因になった。

ロイターの場合ニューヨークやロンドンのアナリストへの報酬は8万ドルだったのが、バンガロールでは総額1万5千ドルですむうえに、インド人従業員は金融に明るく、意欲も高いことがわかった。

これはアメリカで起こっていることで日本は英語が通じないからといっているととんでもないことになる。必ず日本でも同じようなことが起こる。

専属遠隔重役アシスタント

顧客は2つの分野が多いという。

一つは大量の数字データを処理し、パワーポイントのプレゼンテーションを作成しなければならないアメリカの医療コンサルタント。もう一つはアメリカの投資銀行や金融サービス会社で、こちらは IPO (新規株式公開)や合併のメリットなどを説明するのに、グラフ入りの分厚い文書を用意しなければならない。

例えば合併の場合、ブリックワークは全般的な市場の情勢や動向に関する部分だけを担当する。それならインターネットで情報を拾い集めて、標準フォーマットでまとめられるからだ。「買収金額を決めるのは、投資銀行の仕事です」と、クルカルニはいう。「われわれは下のレベルの仕事をやる。市場に最も近いところ、重大な決断や経験が必要なところは、向こうがやります」

これは専属遠隔重役アシスタントを行うブリックワークという会社のサービス。これもアメリカで起こっていることだが、かならず日本にもこのようなサービスが外から押し寄せてくる。何度も言うが、日本語だから大丈夫、ということは決してない。

さて、上の2つのような流れが社会の底辺で起こっていたとしたら、今回のニューヨーク証券取引所のインド証券取引所への出資というのはごく自然なもの。冒頭の“あぁー、やっぱりなぁ”という僕のニュースを知っての感想はここから来ている。

世界の市場を統合するかのようにニューヨーク証券取引所は欧州のユーロネクストと経営統合で合意したばかりだし、今回のニュースにはソフトバンクも絡んでいることからいずれ日本の金融マーケットもこれらの潮流に合わせることになるであろう。

ユーロネクスト

NYSEの声明文によると、4社はそれぞれ5%ずつ取得することになり、NYSEは5%株式取得に1億1,500万ドル出資する予定であるという。NYSE代表取締役の John A.Thain 氏は声明文で、「NSEへの投資はNYSEの世界成長戦略の一環だ。

NYSEとNSE、および近い将来成立するNYSEユーロネクストが相互に利益を享受しあうことで、我々の世界戦略が拡大される」と述べた。

ディーラーが大量に解雇され始めた

昨日のウォール・ストリート・ジャーナルでこの流れに影響を受けている人たちのニュースが載っていた。よくテレビとかで見かけることがあっただろう、ニューヨーク証券取引所フロアーで働くディーラーたちのことが記事に。

フロアーいっぱいに溢れ、投資家からの注文を通すために大声で叫んだり、人とぶつかり合いながら忙しく動いたりしているひとたちは、それこそある意味、マーケットの動向を表現する視覚であった。しかし、それらのディーラーが大量に解雇され始めた。

要はインターネットを使って取引できるシステムに移行し始めて、それらの人は必要なくなってしまったというニュース。2005年頃の活況も催していた頃の ニューヨーク証券取引所写真と、最近の人もまばらになったニューヨーク証券取引所フロアーの写真が載っていた。

ニューヨーク旅行者に提供しているニューヨーク証券取引所見学ツアーもその内なくなるだろう。多くの人は再就職さえ難しいという。あるディーラーは自分の知識、経験を生かして YouTube へビデオ投稿し始めた。42歳の Michael Carboni はコモデティートレーダー。

YouTubeに投稿した彼のビデオを見た視聴者はそれこそオーストリアやシンガポールといったところからアドバイスを求めて電話をかけてくるそうだ。(Short Term Trading Live With Oscar) 最近、ニューヨーク証券取引所のトレーディング・ルームの一つが閉鎖されたために多くのトレーダーは明日は我が身と思いながら、その日が来るのを待ちうけている。


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