インド経済成長ストラテジー、その3(ドバイ)


インド経済成長ストラテジー、その3(ドバイ)

下の内容は、 大前研一通信の過去のインドにまつわる記事をいくつか抜粋したものである。一冊毎月約800円とちょっと高めなんだけど、十分にその価値はあるので2001年頃からずっとお世話になっている。

ドバイからの飛行機路線がインドを変える?

日本ではあんまり知られていないことだが、中東のドバイからインドの15都市に飛行機が飛んでいる。このことが何を意味するかというと、中央から全体に経済が大きくなって富が広がる、という戦略ではなく、インド各地域がそれぞれ外と結びついて独自の発展をしてゆく戦略らしい。インドのリーダーたちは朱鎔基による中国の成功を研究した。

コルカタ、ムンバイ、チェンナイ、ベンガルール、ハイデラバードなどの知事は ニューデリーを当てになどしないし、当てにしていたらいつまで立っても成長できないことを知っている。日本のように中央政府から富を分け与えられるという受動型ではなく、みずから世界の富を呼び込む能動型に向かっていかなければ。これがインセンティブ。北海道の夕張市は外と結びつくことを想像しただろうか?

社会の底辺の人々に購買力が備わる時

C ・ K ・プラハラード著「ネクスト・マーケット「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)」は多くの経営者に新しい角度から視野を広げることを求めるであろう。原書のタイトルは「 The Fortune at the bottom of the pyramid 」。

世界では一日2ドル未満で生活する人々が40億~50億人いるといわれているが、それらの最貧民国の活性化方法は何か? 購買力が乏しい、生活必需品しか買わない、低価格だからマージンが薄い、識字率や IT リタラシーが低い。これらのバイアスをもう一度疑ってみる必要がありそう。

当たり前だが単純に計算してみても一人1ドルは10億人集まれば10億ドルになる。例えばインドではシャンプー、石鹸、化粧品、お菓子やケチャップなど、さまざまな商品が一回使いきりのパックで売られているそうで、収入が不安定で日当暮らしが多い貧困層は、その日に必要なものだけを買う傾向が強いとのこと。

知らなかったが携帯電話加入者は2003年下半期には月150万人ものペースで増えていたらしい。これは格安の頭金と基本料金のお陰らしいが、こちらの視線、つまり貧しいインドの人々が携帯電話を利用できるようになるまではまだ相当な時間がかかるだろうな、というバイアスは捨てなければいけない。

2003年のお話だから今の2007年はどうなのだろう? 中国のときのように固定電話よりも携帯電話が一気に広まることは間違いない。巨大な底辺のマスが動き出した。

メディカル・ツーリズム

ポイント1.インドは欧米並みの高度な医療設備・技術を持った病院が多い上、手術コストが欧米より格段に安い。この事実は知らなかった。例えば心臓手術の場合、アメリカだと5万ドルかかるが、インドは5千ドル。肝臓移植はアメリカが50万ドル(高い)でインドは4万ドル、骨髄移植もアメリカが40万ドル(高い)でインドは3万ドル。

たいがいの手術は10分の1程度の費用で済むらしい。今自分で数字を打っていて“安い!”と感じてしまった。これだったら日本からもインドの病院施設にお願いしたい人、たくさんいるであろう。

ポイント2.インドの主要病院グループは手術の成功率を公表している。インド最大手の病院チェーン「アポログループ」の場合、国内外で38の病院を経営し、4千人の医師がいる。すごい! 心臓手術の施術数が5万5千件で成功率は99.6%。腎臓移植や放射線療法にも定業があるらしい。

「エスコーツ」は心臓外科と神経科の専門施設として有名で、国内外に15の病院を経営している。血管造影治療で8万件以上の実績があり、心臓手術は施術数4万3千件以上で成功率は99.2%。「アラブィンド」は眼科専門の医療機関で、アメリカだと1650ドルかかる白内障の手術費が、なんとたったの10ドル(昼飯代と同じぐらいか!)だという事実。

ここでも自分で数字を打っていて“安い”と感じてしまった。日本の病院に頼るよりも“インドへ行きましょう”という人が増えるだろうな。看護士とか人手不足の上、賃金も安く長時間労働を強いられるのであれば、ちょっと頑張って英語の勉強をすれば、多くの日本の患者さんに対してインドの施設へ預ける橋渡し的なビジネスを展開できると思うのだが、どうであろう?

ポイント3.アメリカやイギリスでは、医師の3割がインド人である。ここがアメリカとかイギリスの患者が有利なところであろう。すでにインド人の医師に抵抗がないので、それならば本国へ行きましょうと、保険会社がインドの病院で手術を受けるツアーを企画、販売している。

保険会社にしてみれば、往復の旅費プラス治療費込みでも十分インドのほうが安く付く。今日本の病院の経営は競争時代に入ったから、気が付いたらこのようなシステムを取り入れているところがグーンと大きくなっているんだろうな。

中東ドバイの人材、目指せ西側の香港、シンガポールの都市モデル

ポイント1.中国が遅れていたときの香港、 ASEAN 諸国にとってのシンガポールのようにインドのハブを目指せ。ドバイがインドのサービス産業の先進モデルになり、ドバイに来ればインドのサービス産業のメリットを、より快適な環境下で享受することができるというコンセプトらしい。中東のドバイという都市国家はすごいです。

前にディスカバリーチャンネルでやっていたシリーズで“ Mega Construction ”というのがあり、中東のドバイを作っていく? 過程のエンジニアたちの奮闘の様子なんですけど、すごかったです! 海を埋め立てて造った都市国家なんですけど、ちょっとスケールが違います。

ポイント2.ドバイを実質的に動かしているのは知的分野ではインド人。そのドバイのエンジニアはインド系の人がたくさんいました。今日本で NHK が放送しているインドのシリーズは今日で3回目、最終日だそうですが、どこら辺まで日本の人たちを開眼することができるのか? こういうのも YouTube とか iTunesで見れるようになるといいんだけどなぁ。

教育に力を入れる国家戦略

まとめですが、今回紹介したインドをはじめ、 BRICs に共通している点は、今のところ社会格差が激しいこと。上にいけばいくほど教育に力を入れているのはどこも同じで、これは日本でも同じ事実だと思う。ブラジルやロシアの金持ち連中はヨーロッパなどの教育機関へ子供を留学させることが多いし、英語の習得は当たり前でテクノロジー分野でも明るい。

中国も負けていない。ビル・ゲイツが以前中国を訪問した際に政府のお偉いさんと会うんだけど、ほとんどの政府閣僚がエンジニア系大学、または学部卒業ということで非常に話が早かった、ということを語っていたそうである。

エンジニア系の政府人が新しいテクノロジーは社会をこのように変える可能性があり、人々にこのような恩恵をもたらすでしょう、ということがすぐに判断でき、実行に移せる国と、既得権益がものごとを決める中心になっている国ではどちらが将来的に発展するだろうか?

知り合いの中国人の留学生の女の子が教えてくれたが、中国のエリートは小学生を卒業するとそこからの生活は睡眠3時間の生活スタイルになるらしい。日本はやっぱりアメリカのカナダになってしまうのかなぁ? 日本もきっとアメリカの会社と同じようにインド人を会社の経営に呼び込まないとやっていけなくなるでしょう。


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