勝てない相手はいないという自信が錦織圭に与えているもの、全米オープンテニス2014


勝てない相手はいないという自信が錦織圭に与えているもの、全米オープンテニス2014

惜しかったです。決勝戦では周囲が期待しすぎてしまったんです、いつもの日本国民のようにいきなりプレッシャーをかけてきますから、応援しているのか、それとも揚げ足を取ろうとしているのか? もう少し冷静に遠くから見守るとか出来ないのかなぁ、といつも思うんです。日本のマスコミから注目され始めたら逃げる、ということが大事とはなんとも情けない。

負けてしまったのは残念ですが、初めての経験ということもあり緊張しているのが観ているこちら側にも伝わって来ました。体全体が硬いから柔軟にボールの対処ができなくなり、反応が遅れるんです。それプラス、あの強烈なサービスをファーストサーブから決めてくるんですから今回はマリン・チリッチの方が上手でした。

連日の暑さから開放されたニューヨークは、もはや秋の気配。大柄の選手にとっては酷暑の中、フルセットを闘う気力は決勝まで錦織選手がどのようにして勝ち上がってきたのか、対戦相手ならば避けたい環境です。試合開始も午後5時ということで涼しかったんです。

プレッシャーです、錦織選手が対処しなければいけなかったのは。グランドスラム、初の決勝進出となれば浮ついてしまうのは仕方のないこと。今回、ここまで進んで悔しい気持ちを味わったことが後の活躍、黄金時代を築くであろう今後の選手生活にきっと役立つだろうことでしょう。いろんな著名人も来ます。歴代チャンピオンも観戦しに来ます。このような環境の中で堂々と自分のテニスをすることの難しさを経験したことは、誰でもできることではありません。

ベスト8進出へ、対ミロシュ・ラオニッチ戦

今回の全米オープンテニス、私は錦織選手の試合、4回戦のミロシュ・ラオニッチとの対戦から観ていました。この選手とは先のウィンブルドンで同じく4回戦で対戦して錦織選手、負けているんです。夜10時過ぎ試合開始となり、フルセットの末、今回の我慢比べに見事勝利。ここで錦織選手は勝利するための何かを掴んだ気がするんです。

試合が終わったのは夜中2時26分。大会史上タイという余り嬉しくない、最も遅い時間に試合終了ということで注目もされました。ベスト8を決めて次の対戦相手は今年の全豪オープンテニス優勝者、スタニスラス・ワウリンカです。ラオニッチとの試合を観る限り、ストロークで打ち負けしないでWinnerを安定した確率で決めてくるあたりは強くなった証だと感じました。

しかし対戦相手が皆長身でファーストサーブの対処に苦労するだろうな、という懸念はありました。フルセットまでもつれ込めば、大柄な選手の体力は相当消耗しているからここに勝機が在るかもしれません。今の錦織選手はフルセットに行っても全力で闘える気力と体力を持続できる自信があるのでしょう。相手に2セット取られても気持ちに余裕が在るようです。

準決勝進出へ、対スタニスラス・ワウリンカ戦

1オールとなった第3セットをタイブレークの末、勝ち取ったことが大きいです。ここに錦織選手の成長、逞しくなったポイントを挙げることができます。タイブレークは全精力を降り注いで望まないと勝ち切れないハードなシーソーゲームを強いられます。このタイブレークでも落ち着いてポイントを確実に積み重ねていくところは錦織選手の内側に宿る自分自身のプレーに対する信頼がないと出来ない仕業です。

スタニスラス・ワウリンカも長身でファーストサーブが強烈なスピードを伴って相手コートをすり抜けていきます。ここを何とか凌いで確実にリターンを返していれば、そこからはストローク勝負。錦織選手のバックハンドは両サイドに鋭く振り分けて、ライン際を狙ってきます。相手選手はコートの後ろ寄りでボールを返すことが多くなり、体力を消耗します。

そこへ巧みなラケット捌きでネット際にドロップボールを落とすんですから、相手は走らせれるわけです。こうなるとフルセットまで持ち込まれればいくら長身で鋭いサーブを放ってくる選手でもわずかに鋭さが欠けてくるんです。ワウリンカ、最後はダブルフォルトしてました。前の対ミロシュ・ラオニッチとの試合、過去最も遅い時間に試合終了を経験した選手で次の試合に勝利したのは錦織選手が初めてということです。

決勝進出へ、対ノバク・ジョコビッチ戦

両者のスポンサーがユニクロということで柳井社長、喜んでいるだろうなぁと想像してしまいました。ジョコビッチは暑さに苦しんでいました。身体が重いというか、動きが鈍くて・・・それに比べ、錦織選手は前の2試合フルセット戦ってきたとは思えないほど元気ですから、ジョコビッチとしてはフルセットまで行くことは避けたいところです。

ここでもポイントは1オールの後の第3セット。タイブレークを取ったんです。ここでもしジョコビッチが奪取していたら試合の行方はわからなかったかもしれません。テニスは自身のサービスゲームはMustと言っていいぐらい絶対に奪取しなくてはいけません。この自身のサービスゲームを相手側にブレイクされると流れはあっという間に対戦相手に行ってしまい、呆気無く敗退ということに繋がるからです。逆に言えば相手サービスゲームをブレイクできれば確実に勝利へと近づけます。

錦織選手が成長したもう一つのポイントは、自身のサービスゲームで0-30、0-40と追い込まれてもとりあえずデュースまで持ち込めるようになったところではないでしょうか。簡単に自身のサービスゲームをブレイクさせない渋とさのようなものが備わってきた感じを受けました。で、デュースの後に粘って自身のサービスゲーム、キープという場面が何度かありました。

本当ならもの凄いファーストサーブで、簡単にサービスエースを重ね、40-0ぐらいまで一気に行けるといいんですけど、それを錦織選手に求めても無理。錦織選手もエースを取れるサービスを持っているんですけど、他の長身選手に比べると狙ってくる角度やコースを厳しくすることが求められます。ジョコビッチは最後、覇気が感じられませんでした。

マイケル・チャンコーチが与える影響

今年から錦織選手のコーチとなったマイケル・チャン。彼は1989年、全仏オープンテニスでわずか17歳で優勝という偉業を成し得た選手です。この人がメンタルな部分で随分と錦織選手を逞しくさせたなぁ、というのが私の印象。粘り強くなったし、簡単にゲームを落とさなくなりました。マイケル・チャンは錦織選手に基本を徹底的に反復練習させているそうです。

納得です。追い込められた場面、コートの端から、コート深くから、鋭いリターンエースを狙えるのは繰り返された反復練習から来ているんです。その反復練習があるからこそ、大事なポイントで、際どい追い込まれたポイントで、迷うこと無くラケットをフルスイングで振りぬき、ボールを相手コート深くに打ち込んできます。勝てない相手はもういないという自信はここから来ているんでしょう。マイケル・チャンという後ろ盾は心強いです。

そういえばアンディ・マリーもイワン・レンドルをコーチとして従えていたし、ノバク・ジョコビッチはボリス・ベッカー、ロジャー・フェデラーはステファン・エドベリをコーチ陣として受け入れています。

今回の全米オープンテニスで優勝したマリン・チリッチは同じ母国のゴラン・イワニセビッチをコーチとして従えていました。イワニセビッチといえば身長193cmの長身から繰り出される左利きの高速サーブを思い出します。チリッチのプレイスタイルを観て納得です。

世界へ飛び出せ、日本の子供たち

錦織選手は近い将来、確実にグランドスラムで優勝するでしょう。コンスタントにグランドスラムでタイトルを取れるようになると、彼は本物になる可能性があります。その時、錦織選手は勝者の、王者のオーラを纏うでしょう。

相手に2セット、先取されようが慌てない。この俺が簡単に負けるわけ無いだろう。自身のサービスゲーム、0-40と追い込まれても慌てない。この俺が簡単に自分のサービスゲームを落とすわけ無いだろう。タイブレークに突入しても慌てない。この俺が簡単にタイブレークを落とすとでも思っているのか!堂々とした風格がテニススタイルに乗り移るとでも言いましょうか!

初めて対戦する相手は無意識に錦織選手をリスペクトしだし、決してブレることのない覇者としての貫禄に憧れてしまうかもしれません。全米オープンテニスで掴んだ勝利の感覚を忘れないでほしいです。来年初めの全豪オープンテニスが早くも待ち遠しいなぁ・・・


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