男子全仏オープンテニス決勝2008、ラファエル・ナダルの完璧なストローク


男子全仏オープンテニス決勝2008、ラファエル・ナダルの完璧なストローク

全仏オープンは 4 大大会で唯一クレー(赤土=レンガの粉)コートを利用することでも知られており他の大会とは違った展開が楽しめる。毎年の大会は展開が波乱に富み、上位シード選手の早期敗退が多いことから「赤土には気まぐれな神が棲んでいる」と評されることも多い。特にピート・サンプラスは男子歴代 1 位の「 14 度」 4 大大会を制しながらも、全仏オープンは最後まで制覇できなかった。

最近の男子シングルス優勝者には “ クレーコート・スペシャリスト ” たちが大半を占める傾向が強くなっていてキャリア・グランドスラムを目指す最大の障壁となっている。技術だけでなく強い精神力が勝敗を左右する最も過酷なトーナメントとも言われるグランドスラム大会である。 (ウィキペディア参照)

今回の全仏オープン優勝ということでラファエル・ナダルは4連覇達成ということになる。ビョルン・ボルグが達成した4連覇と並んでしまった。しかもまだナダルは22歳。これ以上の偉業を成し遂げる可能性は充分すぎるほどあるといってよいのではないだろうか。年齢からくる優位性だけを語っているのではない。ナダルのテニスを見る限り、その強さが圧倒的なのだ。

準決勝、ノバク・ジョコビッチとの試合

第3シードのジョコビッチが相手の強さ、つまりナダルの強さを認めたような場面が幾度かみられ、試合内容もそれを象徴するように 6-4, 6-2, 7-6 とストレート勝ち。あのジョコビッチが全くといっていいほど彼の持ち味、粘り強さを発揮する前に敗れたことには驚いた。

第3セットで唯一、タイブレークに持ち込んだが、ここでも集中力とフィジカル面などでナダルを上回ることができず敗退してしまった。最後にゲームポイントを決めたナダルのあのスマッシュはすごかったね。すばらしい試合だった!

過去の借りを返す

そして決勝。2006年、2007年と同じ組み合わせ。あのロジャー・フェデラーとの対戦。フェデラーはめずらしく、この前の準決勝の試合、ガエル・モンフィスに勝ちきった瞬間、感情をあらわにしている。

ガエル・モンフィスがフランス人ということもあり、いくらフェデラーとはいえ、聴衆はガエル・モンフィスの方についていたのであろう。しかし、それ以上にフェデラーはまた決勝でナダルと対戦できることを待ち望んでいたのかもしれない。あのガッツポーズを見た瞬間、僕はそのように感じた。過去の借りを返す、フェデラーとしてはその機会を得たことに興奮していたのかもしれない。

ということで楽しみにしていた決勝もナダルが圧倒的に強くて、フェデラー、完全に途中から集中力が切れてしまった。6-1, 6-3, 6-0 という結果には少なからず驚く。フェデラーは4ゲームしか取れなかったのだ。逆に言えばそれほど今のナダルは強いということであり、特に全仏オープンの赤土でのテニスは完璧というか、相当自信をつかんだといってよいであろう。優勝までの全過程で今回、1セットも失わなかった。

強さの秘密

ナダルの強さの秘密はどこにあるのだろうか? あの両腕、特に左腕の太さ。ここから繰り出されるフォアハンドと脅威的なバックハンドのストロークが最大の武器といっていい。特にバックハンドから繰り出されるショットはしばしば相手側を驚かせることになる。

相手はかなりきついところに角度的にも打ち込んだであろうショットをナダルはその強靭なパワーで相手の懐深く、鋭い角度をつけてバックハンドからリターンを奪いにくるのだ。これをやられたときにはどこにナダルの弱点があるのか、相手側はしばし呆然としてしまう。

全仏オープン特徴なんだけどこの赤土のお陰でプレーヤーはスライディングしながらボールをギリギリまで追うことができる。このことからポイントを決めるにはかなりの確立で相手を揺さぶり確実にポイントを取れるようなショットを繰り出さねばならない。そうでもしないと相手側に拾われてしまうのだ。

また赤土の表面が固いため、ボールのバウンドが高くなり、これがプレーヤーの体力を奪う原因の一つになっていると思われる。つまり、相手リターンのボールはトップスピンがかかり、地面に着地した瞬間、大きく跳ね上がる。

これがプレーヤーのボールを捉えるポイントが高くなることに起因して大きく自分の胸の位置にあるボールを打ち返す必要があるために、身体全体を使ってショットを繰り出さなくてはいけない。

芝生の上だともう少しバウンドの跳ね返しも浅くボールを捕らえるポイントも自分の腰より少し下の位置で捕らえることができるためにそれほど体力を消耗するようなショットをする必要もなくなる。ナダルのあの狂人的な筋力が彼を全仏オープンで圧倒させる起因の一つになっていると思うんだよね。

今回のように圧倒的な強さを見せ付けられた場合、当分ナダルに変わって全仏オープンで優勝しそうなポテンシャルが現れるかどうか、その可能性を完全に失ってしまう。フェデラーにとっては過去、 全仏オープン優勝を果たせなかった選手リストに名を連ねてしまうことになるのであろうか?

クレー(赤土)の全仏オープンと芝生のウィンブルドンでは過去、ここのタイトルだけ取れなかった選手が案外たくさんいるのだ。

テニスの歴史に残る名選手にも、 4 大大会のあるタイトルがどうしても獲得できなかった人が多い。とりわけクレー(赤土)の全仏オープンと芝生のウィンブルドンで宿願を果たせなかった選手を記述する。

全仏オープンを取れなかった選手:フランク・セッジマン、アシュレー・クーパー、アーサー・アッシュ、ジョン・ニューカム、ジミー・コナーズ、ボリス・ベッカー、ステファン・エドベリ、ピート・サンプラス、ルイーズ・ブラフ、バージニア・ウェード、マルチナ・ヒンギスなど (現役選手ではロジャー・フェデラー、リンゼイ・ダベンポート、マリア・シャラポワもいる)

ウィンブルドンを取れなかった選手:ケン・ローズウォール、ギレルモ・ビラス、イワン・レンドル、マッツ・ビランデル、ハナ・マンドリコワ、モニカ・セレシュ、ジュスティーヌ・エナンなど (ウィキペディア参照)

今月の終わりから始まるウィンブルドンでラファエル・ナダルはどこまで戦えるだろうか? 2006年、2007年、とここ2年間の決勝はフェデラー対ナダルという組み合わせで行われ、過去2年間はフェデラーが優勝してきた。

2006年、 6-0, 7-6, 6-7, 6-3 。2007年、 7-6, 4-6, 7-6, 2-6, 6-2 。去年は第5セットまでもつれたんだね。今年はどうなるんだろう?

不可能と思える体勢から逆襲するパッシングショットは、ナダルだけが持つスーパーショットである。相手からすれば決まったと見えるショットにも鋭い読みと、反応、足の速さで追いつき、体幹の強さで倍返しにしてしまう。よって、「ナダルに対してはエース級のショットを 3 本打たなければポイントが取れない」などと言われている。

メンタルの面でも非常に秀でている。フェデラーが常に冷静に淡々と事を運ぶタイプであるのに対して、ナダルは声を荒げてショットを放ち、派手なガッツポーズをするなど自らを鼓舞して能力を引き出すタイプであり対極的であるが、両者ともどれほど不利な状況になろうと試合を投げ出さない。

またその豪快なイメージとは裏腹に、ペットボトルのラベルの向きを気にしたりサーブに入る前の動作など神経質ともいえる彼独特の一連のルーティーンをこなしている。テレビで一見すると、他のトップ選手と比べてストロークのスピードが遅く、それほどコースが厳しいわけでもないナダルのプレーは世界 2 位の選手のものには見えないかもしれない。

しかしそれはボールに凄まじい回転がかけられているからである。ナダルのフォアハンドから繰り出されるトップスピンのボールは打ち返す側にとっては非常に重く感じられ、攻撃的に打ち返すことが難しい。

そして高く弾むため、ナダルが左利きであることとあいまって、特に右利きの片手打ちバックハンドの選手にとっては非常にやっかいなボールとなっている。そのボールの威力たるや松岡修造氏曰く「ママさんテニスの人なら(打ち返そうとしても)おそらくラケットが吹き飛ばされる」ほどである。

また他の選手より滞空時間の長いナダルのフォアハンドは、不利な体勢でも立て直すことができる時間的猶予を彼に与えている。 (ウィキペディア参照)


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