第4クフォーター残り2分、チーム内に自信が漲っているか?


第4クフォーター残り2分、チーム内に自信が漲っているか?

NBA Finalが昨晩から始まった。今年も去年と同じチームが西と東のコンファレンスから上がってきている。サンアントニオ・スパーズとマイアミ・ヒート。ファイナル第一試合はサンアントニオで開催され見事、サンアントニオ・スパーズが地元に利を活かして勝利した。今年のサンアントニオは去年のリベンジを果たすべくチームが一丸となっている。選手一人一人から、コーチ、チーム関係者は強いモチベーションで結ばれている感じが伝わってくる。

一方のマイアミはというとやはり覇者の貫禄を身につけ、挑戦者の全てを受け入れる懐の深さというかチーム全体に漂う自信はさすがだと感じる。ドウェイン・ウェイドやクリス・ボッシュ、レブロン・ジェームズなども調子いいし、レイ・アレンやマリオ・チャルマーズも良い。そうなのだ、マイアミは完全にファイナルでの勝利を狙っているしその準備を怠ること無くここまできている。経験が彼らを油断するという状態から遠ざけているようでもある。

このファイナルは見所がある。サンアントニオもマヌ・ジノビリやティム・ダンカン、トニー・パーカーと”ビッグ・スリー/The Big 3″の成熟度が増していよいよ見納めか、という雰囲気の中、有終の美を飾るぜ、という気概が伝わってくる。マイアミもチームとしてまとまっているこの今という時期に確立できるタイトルを総なめにしようという思惑。パスワーク抜群プラス個人技のスパーズかスリーポイントシュート連発プラス個人技のヒートか? 良いシリーズになることだけは間違いない。

混戦状態の西コンファレンス

今のNBAでは西コンファレンスの方にユニークなチームが揃っていて中々興味深い。ゴールデンステート・ウォリアーズにはステフィン・カリーというスリーポイントシュートを尽く決めてくる強者がいるし、そのゴールデンステート・ウォリアーズをプレーオフで破ったロサンゼルス・クリッパーズも面白いチームで私個人としては大好きなチームの一つである。

ポイントガードにチーム司令塔のクリス・ポール。ジャマール・クロフォードやデアンドレ・ジョーダンといった大型センターもいる。そしてMVP候補三番手だったパワーフォワードのブレイク・グリフィンが存在する。グリフィンは観ていて面白い。巨漢だがボール裁きはポイントガード並みに上手く、フリーレンジからのシュートも確実性が高い。

そしてリング周りでのド派手なパフォーマンスでファンを惹きつける。グリフィンはとにかく飛ぶのである。一人ダンクも派手なら、パスを空中でトスされてそのままダンクというのも豪快で観ているファンは爽快な気分になる。このように多彩な人材を率いるクリッパーズ、もしかしたらファイナルに西から進出する可能性もあるぞ、と期待していたがオクラホマシティ・サンダーの前に屈してしまった。

そのオクラホマシティ。去年はラッセル・ウェストブルックが怪我でプレーオフ途中から出場停止、西コンファレンス準決勝敗退という苦汁を経験したが今年は役者が揃っている。もしかしたら見飽きたサンアントニオに変わってオクラホマシティとマイアミのファイナル実現?と期待したファンは多かったと思う。私もその一人。

去年のMVP受賞者、レブロン・ジェームズ率いるマイアミ・ヒートと今年のMVP受賞者、ケビン・デュラント率いるオクラホマシティ・サンダー。見応えはあったであろう。しかしオクラホマシティはサンアントニオの前に屈してしまった。

このようにしてみると、NBA Finalに辿り着けそうなチームが良い意味で混戦している西コンファレンスは面白い。クリッパーズも可能性があるし、サンダーも充分実力を備えている。両者に足りないのはプレーオフで戦う経験だけ。悔しさをバネにしてタフネスを身に付ける。クリス・ポールとブレイク・グリフィン。ラッセル・ウェストブルックとケビン・デュラント。今後楽しみな4人であり注目してほしい。

NBA Playoffでの戦い方

プレーオフとシーズンでの戦い方は何処が違うのであろうか? プレーオフな4勝先に勝ったチームが次の舞台へと進出するタフで長い戦い。個々の選手のフィジカル、メンタルな状態は常にベストであるか? チームとして強いモチベーションでまとまっているかどうか? これがないと完全アウェイの状態で対戦相手に対して負けない精神力とフィジカル面でのタフネスを発揮するのは難しい。

同じ相手と第7戦までもつれた際にはチーム全体のモチベーションが本当に大事になってくる。一人でも負けを受け入れるとそれがチーム内に伝染するであろうし、強い気持ちがないとベストなプレーを発揮できない。勝者が全てという厳しい世界なのである。負けたけどよくやったという慰めはファンから期待してはいけない。

クリッパーズもサンダーも第7戦までもつれ込む前、最後の最後というところで力付きてしまった。第4クウォーター残り2分、ここから駆け引きが始まる。余程の自信がないと、俺にボールを回せとも主張できない。スリーポイントシュートを確実に決められる自信。デフェンスからのプレッシャーは集中して守る覚悟があるから厳しいのは当たり前。ここをチームとして踏ん張れるかどうかで勝利の女神はどちらに微笑むかを決めてしまう。

まず焦るのは良くない。身体能力が高い選手は特に自分がドリブルで中へ割って入っていき、レイアップシュートで確実に2点を取る。そんなに時間は費やさないから、と気持ちが先走りして強引なプレーになってしまう。相手ディフェンス、リング下でのガードはガチガチで身体を張ってくるから下手をするとオフェンシブファールを取られてしまう。そうするともったいないところで相手側にフリースローが与えられ、チームは益々追い込まれていく。

ここで重要になってくるのがゲーム後半に活躍するクラッチシューターの存在である。マイアミ・ヒートにいるレイ・アレンのような存在の選手。ここでスリーポイントシュートを決められたら痛い、時間的にも余裕がなく、点差的にも僅差であればあるほど第4クウォーター残り時間少ない時間帯でのスリーポイントシュートは相手チームに打撃を与える強烈なインパクトを持つ。

クリッパーズにはそのようなクラッチシューターは見当たらない。ジャマール・クロフォードに期待していたがまだまだ精神的なタフネスを身につけていない感じがした。ブレイク・グリフィンは徹底的なガードに合うため中へ切り込んでリング下までいけない。第7戦、第4クウォーターでファウルなしで残っている選手も限界で集中力を保つのは経験とモチベーションだけが頼りという状態に。

クリッパーズはクリス・ポールが焦りからかミスを連発してチームに負けるかも、という雰囲気を醸しださせてしまった。相手が焦れば焦るほど対戦相手のオクラホマシティー・サンダーは落ち着いていた。アウェイという状況の中で勝者の雰囲気と自信を醸し出していたのはオクラホマの方であった。

そしてそのオクラホマシティもサンアントニオの前に屈してしまう。第7戦までもつれ込むかと思われた第6戦後半、ゲームが緊迫してきた中で、我慢が出来なくなってきていたウェストブルックが個人プレーに走ってしまった。早く点差を広げて気持ちを楽にしたい。有利にゲームを展開できるようにチームを持って行きたい。肝心のスリーポイントシュートは決まらない。自信を持ってプレーしている選手は数少ない。

ケビン・デュラントはファイナルへ行きたかっただろう、今年は特に。MVPを受賞して感動のあまり涙したケビン・デュラント。チームメイト、自分の母親に涙ながらに語る感謝の言葉に多くの視聴者は感動を覚えたはずである。だからこそ、ケビン・デュラント自身も、チームメイトもファンも今年のサンダーに期待していたと思う。ファイナルでレブロン・ジェームズ率いるマイアミ・ヒートと対戦できると。

しかし対戦相手のサンアントニオはクリッパーズを負かした時のサンダーになっていた。アウェイの状態であったサンアントニオは焦り自滅していくサンダーとは裏腹に落ち着き自信を深めていく。俺達こそが勝者になるんだ、俺達が今年のチャンピオンだと。期待されたサンダーはあっけなくしぼんでしまった。

スタープレーヤーも必要だがそれだけでは優勝できない

やはり最後はチーム力なのだと思う。レブロン・ジェームズやケビン・デュラントのようなスタープレーヤーも周りで自分と同じぐらいチームに貢献するチームメイトが必要なのである。パスワークが素晴らしかったり、スリーポイントシュートを決めてくる人材だったり。そして自分と同じぐらい実力を備えている個人の存在も必要になってくる。

古くはマイケル・ジョーダンに対してのスコッティ・ピッペンであり、ケビン・デュラントに対してのラッセル・ウェストブルック、ティム・ダンカンに対してのトニー・パーカー。そしてレブロン・ジェームズに対してのドウェイン・ウェイド。これらの存在がなかったら自分一人だけの活躍だけでは限界があるので決して上へは行けない。

自分が調子よければ第4クウォーター残り2分からの勝負は俺が背負う、と意気がってもいいであろう。逆に今日はどうも調子が悪いとなれば他のチームメイトに助けてもらう。かつてのマイケル・ジョーダンがそうだったが、第4クウォーター残り2分からの勝負は全てマイケル・ジョーダンが率いていた。チームメイトもコーチもファンも、そしてマイケル自身も信頼と自信を受け止めていたのである。

この他人からの信頼と自信を第4クウォーター残り2分からの勝負で受け止めるには精神的にもフィジカルの面でも自分をコントロールするというタフネスが要求される。失敗してもチームメイトからの信頼と自信を失わないという安心感を感じることが出来なければ、そのような大役をこなせないであろう。マイアミ・ヒートが強いのはレブロン・ジェームズの周りにそのような雰囲気を醸成できていることにある。

今年どうであろうか? サンアントニオにはレブロン・ジェームズのようなスターは居ないがティム・ダンカン、マヌ・ジノビリ、トニー・パーカーといったベテラン組があ・うんの呼吸でお互いを信頼しきっている雰囲気がこちら側にも伝わってくる。第4クウォーター、残り2分からの攻防に注目してほしい。どちらが我慢できるか?

焦って自滅すれば相手チームは冷静になっていく。タフネスという本当の意味合いはフィジカルだけではないことを垣間見ることになるであろう。今年のシリーズファイナルは期待していい、絶対に面白いシリーズになるから!


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