NHKスペシャル「インドの衝撃(1)」 – ヒンドゥスタン・ユニリーバ


NHKスペシャル「インドの衝撃(1)」 – ヒンドゥスタン・ユニリーバ

去年、 NHK スペシャルで「インドの衝撃」と題したシリーズを3回に分けて放送していたんですけどこれが中々良かったというか題名のように衝撃を受けました。

トーマス・フリードマン 氏著「 フラット化する世界 」などを読んだりして日頃からインド人の驚異には興味を持っていたんですけど、改めてインド人の頭の良さ、これからのインド人社会というものに期待するようになりました。

第1回目はインドの地方にある農村で何が起こっているのか? 貧困層を狙えという内容のものでこれは ( インド経済成長ストラテジー、その3(ドバイ)  )でも取り上げました。

そして第2回目はインド流ビジネスが日本の経済社会に浸透し始めている、という内容でしてこれもすごい内容で僕が中国とは日本の特徴を生かした物作りの面で協力体制を、経営という数字が絡んでくる部分にはインド人とパートナーを組んだほうがいい、という考えの元になったものです。

シリーズ最後の第3回目は印僑( インド系移民と在外インド )のお話でして、今世界中に散らばるインド人の頭脳をインドの発展のために使おう、という動きを取材したものでした。お隣の中国が比較的に日本の近隣に位置するために中国を大きく意識することはいいことなんですけど、インドにも注意しておいたほうがいいのではないか? と本当に思い知らされます。

欧米からの資本も多数入り込んでいますし、インドのこれからは日本にとって必要なパートナーという意識を強めていくべきだと改めて感じさせられました。

さてその第1回目ですけど、インドでインド人によるインドの会社によるインド人のための車が発売される、というニュースから始まります。

タタ・モーターズ、 ラタン・タタ会長。インドの自動車会社でして新型車( タタ・ナノ )の発表会が去年の1月に行われました。新車の価格はなんと価格は10万ルピー(25万円)、ラジオもエアコンもなし、サイドミラーも一つという徹底的な低コストを実現して、販売のターゲットをインドの農村の人々にしているそうです。

2008 年1 月 10 日、 ニューデリー・ オートエキスポにて「ナノ」( 624cc リアエンジン / 5 人乗り)を世界初公開し、同年 9 月にもインドで売り出すと発表した。価格は 10 万ルピー(約 28 万円)を予定しており、販売されれば量産自動車としては世界で最安値となる。(ウィキペディア参照)

Bottom of The Pyramid 、インド社会の携帯電話事情

先ほど紹介した前のエッセイ(  インド経済成長ストラテジー、その3(ドバイ)  )でもここのところを記述しています。

☆  Bottom of the Pyramid 、社会の底辺の人々に購買力が備わる時

C ・ K ・プラハラード著「 ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 ( ウォートン経営戦略シリーズ ) 」は多くの経営者に新しい角度から視野を広げることを求めるであろう。原書のタイトルは「 The Fortune at the bottom of the pyramid 」。

世界では一日2ドル未満で生活する人々が40億~50億人いるといわれているが、それらの最貧民国の活性化方法は何か? 購買力が乏しい、生活必需品しか買わない、低価格だからマージンが薄い、識字率や IT リタラシーが低い。これらのバイアスをもう一度疑ってみる必要がありそうだ。当たり前だが単純に計算してみても一人1ドルは10億人集まれば10億ドルになる。

例えばインドではシャンプー、石鹸、化粧品、お菓子やケチャップなど、さまざまな商品が一回使いきりのパックで売られているそうで、収入が不安定で日当暮らしが多い貧困層は、その日に必要なものだけを買う傾向が強いとのこと。

知らなかったが携帯電話加入者は2003年下半期には月150万人ものペースで増えていたらしい。これは格安の頭金と基本料金のお陰らしいが、こちらの視線、つまり貧しいインドの人々が携帯電話を利用できるようになるまではまだ相当な時間がかかるだろうな、というバイアスは捨てなければいけない。

2003年のお話だから今の2007年はどうなのだろう? 中国のときのように固定電話よりも携帯電話が一気に広まることは間違いない。巨大な底辺のマスが動き出したのだ。

長年の深刻な貧困問題解決へ

インド社会に存在すると言われる7億人の貧困層。これらの人々をビジネス界からに視点で見るとまずバイアスの物が売れない層というのがありました。ですけど実際には年収16万円、全体の市場規模でいうと25兆円ものマーケットが存在するそうです。ここにビジネス界は目をつけ、インド社会の農村の貧困層が大きく変わろうとしています。

ユニリーバの石鹸

商業都市ムンバイに存在する世界最大の生活用品メーカー ユニリーバ、年間売り上げ3200億円、ヒンドゥスタン・ユニリーバというのが正式会社名であり、 ユニリーバグループ企業の中でトップクラスという。オランダとイギリス資本ということはあの石油会社の ロイヤル・ダッチ・シェルと同じではないか?

ユニリーバ ( Unilever N.V./Unilever PLC、蘭 / 英) は、 オランダと イギリスに本拠を置く 食品と 洗剤・ ヘアケア・ トイレタリーなど家庭用品メーカー。 二元上場会社であり ロッテルダムと ロンドンに本社を置く。(ウィキペディア参照)

ヒンドゥスタン・ユニリーバがインド農村部での貧困向けビジネスを本格的に始めたのは90年代という。売る商品は主に生活雑貨のコーヒー、洗剤、石鹸、1ルピー(2.5円)。

最初は苦労したらしい。まず都市部から離れた農村では一般的に物が売れないという。どういうことか? 例えば石鹸を使ってもらえない。農村部の6割の人、石鹸って何? とここから始まるのです。石鹸というものを使ったことがないらしく彼らは泥や灰で洗います。

シャンプーや石鹸は使ったことがないという人がほとんどで、燃料などは牛の糞を乾かして使うという生活状況。こういうところから変えていかなければいけませんでした。生活必需品を一日単位のパッケージにして売ればいいじゃないか? という以前の問題ですよね。

生活の中にそれらのものが浸透していないというか、そういうものを使った生活様式ではないのです。こういうところから開拓、農村の人々を都市型というかもっと便利な? 世の中の方向へとアジャストさせていく必要があったのです。

6年前から始めたキャンペーン、学校内で特別な授業

そこでヒンドゥスタン・ユニリーバは戦略を考えます。石鹸を使うことが衛生面で如何に大事か、という概念を人々に植え込んでいく作戦に出ました。学校内で特別な授業を開いて、子供たちを一番のターゲットとしたのです。

子供たちならば大人に比べ、比較的習慣を変えやすいと考えられそれらの子供たちが伝播してくれるだろうと見込んだわけです。テレビや新聞の発達していない、家族内の、近所づきあいからの口コミで伝わるだろうと。子供から親などへ、子供は代理人というように捉えたのです。

流通の問題

流通の確保にも頭を悩ませました。そこでヒンドゥスタン・ユニリーバ新しい戦略、貧しい農村の女性を販売員にさせるという目標を立ち上げました。村の女性が持つネットワークを利用しようというもので、彼女らにセールスを教えることがもっとも重要だったのです。

インド農村部の女性の平均的な生い立ちは18歳までに結婚する人半数です。これらに属する彼女たちに徹底した研修、商品の売り方、意識改革を行いヒンドゥスタン・ユニリーバの農村部でセールス部門の先頭に立ってもらい、流通機構を確立する目的もありました。

ある家庭の主婦といっても18歳ぐらいの女性ですけど販売員になることを決めるんですね、でも知り合いに物を売ったという経験もありませんし、研修を積んでいざ本当に売りに出かけるという段階になると途端に消極的になり、自信が揺らいでやっぱり無理です、となってしまうんですね。

それを研修期間の間付き添っていた教官と共に励まされ実際にセールスを行いに知り合いの家まで行くんです。ぎこちないながらもなんとか幾分かのセールス、生活必需品などを売り抜けたその販売員の女性はほっとしていました。

物を購入した側から見れば、知り合いの女性だし生活必需品をやすく買えるとなって重宝しているみたいですし、販売員の女性のほうも少しばかりの収入が家計を助けるといって喜んでいました。

見ていてですね、こうやって貧困的な生活、非衛生的な生活から文明という社会の生活様式へと知らず知らずの間にはまっていってしまうのだろうなぁ、とおもいました。もちろん生活自体が便利、衛生的にも清潔になることはいいことですけど、そこに入り込んでいくオランダ、イギリス資本を不気味に感じました。

インドの農村市場、激化する競争

他にも番組ではインド社会に浸透しつつあるラーメンについての取材を紹介していました。 ネスレという欧米資本がここでも早くから進出しています。日本からも 日清食品がインド社会のラーメン市場に食い込もうと努力しています。価格は4ルピーイコール10円。インド日清の多部さん曰く、ネスレが確立してしまった市場に入り込んでいくことは大変だそうです。

インドでは先行者利益というものがあり8年前にネスレはラーメンの進出を果たしました。今日インドではラーメンブランド代名詞といわれるほどの認識度を達成しており市場を独占、最初の商品がもっとも指示される、印象強いという影響となって日清食品の戦いを拒んでいるそうです。先行者利益ということでインドの消費者は様々な商品に触れる機会が少ないというのも特徴にあげていました。

これもそうですね、生活が便利になればなるほど、欧米の先進国が抱える現代病といわれる近代化による病気に人々は犯され始めます。

インド総合商社

ここまでインドの農村部で起きている生活者の消費関係の事柄を見てきましたが今度は農村部で代わりつつある生産者側の変化の兆しを取材しています。以前でしたら農家は収穫した作物を次のような販売ルートを利用していました、というか利用せざるを得ない状況でした。

農家→公設市場→仲買人(手数料を取られる)→ ITC( ITC Limited)

農家は仲買人に安くたたかれるため、常に不満を抱えていました。そこを ITC が新たな戦略を持って開拓。農家の人々を巻き込んで市場を独占しようというビジネスモデルを立ち上げたのです。単純にいうと次の通り。

農家→ ITC

つまり直接取引きです。直接農家からの収穫された作物を ITC が買い付けるというものです。農家は公設市場を使う必要はありませんが、農家にはそこの場を利用するしか他に売る場所がありません。そこで登場したのがインターネット利用という方法でした。

インターネット利用、買い取り価格

ITC は農村に衛星アンテナを使ってインターネットを利用できる場を提供します。ここの施設は太陽電池を利用していて静電防止に役立てています。 ITC 側は次のように考えました。仲買人を通さないためその分の手数料を農家に示す購入価格に上乗せできる。つまり価格設定を高めにできます。農家にとっては好条件です。

このような環境を提供すれば農家は ITC に売るだろうという仮説をたて、パソコンなどの使い方を一から教えました。農家の飲み込み方は早かったといいます。

ある日、小麦の出荷を控え農家の人たちが村の電子集会所に集まります。皆でパソコンを取り囲んでインターネットで小麦価格探り、高めの値をつける ITC に売ることができました。農家の人たちはこれを利用することで確実に収入を得ます。そしてその収入は増えます。同じように場を提供した ITC も利益を出す、という仕組みです。

農村向けショッピングモールの誕生

ここからがすごいんですけど、 ITC は農家向けショッピングモールを建設するんですね、 ITC の農産物買取のすぐ隣にです。取引を終えた農家はそのショッピングモールの中へと自然に足が向かいます。

というのも農家が売り払った農作物の代金受け取り場がそのショッピングモールの中にあり、そのままその場で買い物ができるという仕組みというか、すべて農家から吸い取ってしまおうというか、まぁ本人たちが幸せそうでしたからいいんですけど。

そしてそのショッピングモール内商品の多くは ITC ブランドです。携帯電話、家電製品、オートバイ。ある家庭の主婦はテレビが家に来たことをものすごく喜んでいました。日本もかつてこのような時代がありましたね。それをインドの農村部は今体験しているんです。

この ITC の戦略、農家を豊かにすれば企業も儲かるという動きは加速しています。インドの農村市場ですけど、7年後には40兆円を超える見込みとか。伝統的な生き方変えてしまう勢いで広まっているそうです。そして今 ITC が考えているのがこのビジネスモデルを世界に展開するというもの。世界40億人の貧困層、アフリカ、アジア、世界の将来的には25カ国にビジネスモデルを応用できると考えています。

日本での動き

日本でも 農産物直売所、 ファーマーズマーケットという仕組み、どんどん広がっていくとおもいます。食の安全関係の暗い事件が相次いだだけに消費者の感覚といったらとにかく信用できるもの、という要求が強くなっているのではないでしょうか? 農業だけではありません。この前の NHK 「 クローズアップ現代 」では鮮魚の新流通という特集を組んでいました。

大手スーパーが漁船の魚を一艘丸ごと買うという新たな産地直送販売を始めた。これまで値段がつかなかった小魚も新鮮さを武器に売り場に並ぶ、鮮魚流通の最前線を追う。

「食卓が変わる? 鮮魚の新流通 鮮魚の流通」で今、大きな変化が起きている。これまでは漁業者→漁港の卸→仲買→消費地の卸→仲買→小売店という何重もの流通業者を経ていたが、大手スーパーチェーンが漁港での直接買い付けを本格的に始めたのだ。

今や鮮魚の購買は量販店が7割を占め、長年続いた鮮魚流通の ” 革命 ” と注目されている。 背景にあるのは、食の安全や新鮮さへの消費者ニーズ。複雑な流通経路の鮮魚は、鮮度や衛生面などの安全性が確認し難い傾向があった。また燃料高騰などで苦況に立つ漁業者側も直接取引を大歓迎。流通業者を通さないことで、収入増が見込まれるためだ。

一方、流通業者は、これまで以上に存在意義を問われている。中には、中小スーパーや鮮魚店との連携を強化して生き残りを図るところも現れた。激変する鮮魚流通の最前線と、私たちの食卓がどう変わるのか検証する。

ここでもフラット化が起きているんですね。


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